終わりを受け入れず、かつての王たちが手放さなかった冠を今もなお握りしめる。夜明けを拒む城の奥で、扉は古い錠前に守られ、時の流れを止めようとする手が、いにしえの神話の王のように固く固く閉ざされている。出口のない迷宮に足音が吸い込まれ、頭上の空は遠い。エジプトの冥府を渡る舟の下、静かな水面は風もなく、沈黙だけが漂う。ギリシャの冥界を巡るオルフェウスの影のように、振り返ることもできず、ただ一歩、また一歩と過去に留まる決意を重ねてゆく。
また一方、冬のヨーロッパ、葡萄の収穫が終わった後のブドウ畑では、蔦の枝が枯れ木のように絡まり、熟した実の余韻だけが残る。ファリャの音楽が流れるスペインの古い街角で、革を打つ職人が仕事台を磨き、遥か昔の戦士が纏った外套の色を思い出す。インドの寺院で僧侶が纏う布、遠き中世の法衣、交易で運ばれた大地の果実、熟しきった石榴、王の宴の皿の上に並ぶ栗、いずれも力強く、深く、静かに命の余韻を讃えている。
この地の風景もまた、秋の終わりの濃い曇り空、雨の気配が残る窓辺、誰かが読み終えた厚い本の重みと静けさに満ちている。祖父の椅子、その肘掛けに刻まれた時の痕跡、使い古された道具箱、古い書類を束ねた革紐。それは新しい扉を開ける勇気ではなく、今あるものを手離すことに戸惑う心の表れ。過ぎ去った季節の余韻を纏い、次に踏み出すことを考えるまで、しばし立ち止まる瞬間がある。
手もとにある道具として、使い古された手帳や日記の表紙を撫でてみる。読み飽きたはずの本をもう一度取り出し、ページをめくる。昔の封筒やレターセットを見つけて、あの日書きそびれた短い手紙を綴る。台所で栗の皮を剥き、ほのかに甘い香りに包まれてひと息つく。すべてが時の流れの中で、まだ終わらせず、もうしばらくその温もりに寄り添う選択となる。
今日のラッキーカラーは、マルーンです。
Lucky Color: Maroon — #800000戸惑いの中でも、静かな力が心を包みます。温かな余韻が、やがて夜明けを導くでしょう。