二頭の獣が曇り空のもと、交差する石畳を踏みしめる。進み続けることが目的となった旅路は、行く先の光に気づかないまま、ただ轍の響きだけを残してゆく。戦車の御者は両手で手綱を握りしめるが、左右の軛が微かにずれ、時おり前輪が石に引っかかる。視線は遠い地平線に向けられているが、足元の小石やくぼみに心を配る余裕が失われていく。古代の戦場で、無数の戦車が砂塵とともに行き交い、乾いた大地を焦がした。時の河が流れ、いまやそれらの道は乾いた風に洗われるだけになった。
この風景の脇には、ふと立ち現れる古代の香辛料市場。温かな陽が沈みかけ、商人の手元には土器の壺や手織りの布が積まれている。香辛料の山は、わずかな湿気を帯びた空気に鮮烈な匂いを放つ。地中海沿岸の街、迷路のような小路を抜けた先には、刻まれた果実や実が山積みされた木製の台。ギリシャ神話の彼方、神々に捧げる儀式の火は、こうした実を撞木で叩き割り、甘やかな味とともに供されたという。古代ローマでは、行進の終わりに祝宴が開かれ、焙煎した種子や果実が卓上を彩った。
インドや西アジアの道を旅した隊商たちは、ラクダの背に積んだ織物を守るため、染めた布で包み、土埃から果実や香辛料を守ってきた。唐辛子が新大陸からもたらされた後、世界の台所は彩りを増し、色鮮やかな料理が人々の器に盛られるようになった。夏の果樹園では、枝の間から手を伸ばし、熟した実を摘み取る。まるく照り映える表皮は、収穫の喜びを知らせる合図。乾いた風に吹かれても、この色は失われることなく、祭りや市の日の屋台で人々の目を引きつける。
屋内では陶器のカップに新たな香辛料を少し加え、朝の食卓にアクセントを添える。カーテン越しに差し込む光がテーブルに落ちると、一片の果実や織物の端が、ほんのひととき輝きを見せる。パエリアやスパイスパン、あるいはトマトとハーブの温かなスープ。市場で買ったばかりの実を切り分けて皿に盛り、テーブルクロスの端にそっと置かれた台拭きの色が、今日の心持ちを明るく照らす。
今日は、朝の食卓に新しい香辛料を振りかけてみる。果実を一つ手に取り、食べやすく切る。カップの淵を布巾で拭い、台所の小窓を少しだけ開ける。
今日のラッキーカラーは、オレンジレッドです。
Lucky Color: OrangeRed — #FF4500旅路の途中でも、小さな明かりが見つかりますように。