崖っぷちに立つ旅人は、まだ何も手にしていない。手には小さな包み、足元には好奇心に満ちた犬が寄り添う。ここはどこか遠い異国の草原、朝露の残る道。冷たい空気は、夜明けの光に洗われて、やがて温かな輝きへと変わる。
昔、ギリシャの神々もまた、自分の運命を知らずに神殿の門をくぐった。太陽が水平線を照らし始める頃、地中海沿岸の農夫たちは丘の上に立ち、大地がもたらす約束を信じて種をまいた。足元には野に咲く小さな花が揺れ、風は遥かなレモンの木立ちを通って穏やかに吹く。彼らの心を包むのは、まだ何も決まっていない未来への信頼だった。
旅人は、まだ大きな荷物も背負わず、重い記憶を持たず、ただ今という一歩を楽しむ。昔の帆船乗りが新しい港を目指して舳先を進めるとき、あるいはシルクロードの隊商が見知らぬオアシスへと駒を進めるときに感じた清々しさと同じ。崖の前に立つ者は、足元の光を頼りに歩み出す。
この光は、曇りの日の朝食の膳にも現れる。焼き立てのパンのそばに並ぶ果実、絞ったばかりの果汁が湯気を立てている。昔から人は、熟した果物の柔らかな艶に元気を託し、旅の出発にそれを口にした。草原の人々は木の葉の間からこぼれる光を布に写し、テーブルクロスや寝具に仕立てた。彼の地の修道女は、朝の祈りとともに絹糸を手繰り寄せ、やがて祝祭の衣に仕立てた。
この色の名が語られる土地では、夏の軽い雲が丘の上を通り過ぎる午後、軒先に吊るされたカーテン越しに淡い日差しが差し込む。砂糖菓子のような焼き菓子が摘まれ、客人をもてなす皿に静かに並べられる。農園の人々は、陽が高くなる前に収穫を済ませ、果実を籠に入れ、やがて街道に姿を消す。
今日できることとしては、出発の前に新しいノートを取り出し、最初のページに言葉を書き始めてみる。朝の台所で果実を一つ手に取り、皮をむいてみずみずしい一切れを味わう。小さな花を一輪、窓辺のコップに挿してみる。あるいは、旅に思いを馳せながら軽いストールやハンカチを持ち歩き、出先でその手触りを感じるのもよいだろう。
今日のラッキーカラーは、レモンシフォンです。
Lucky Color: LemonChiffon — #FFFACD始まりの柔らかさが、心に静かな勇気をくれます。