吊るされた男
THE HANGED MAN · XII
吊るされた男は、大アルカナの12番のカードです。T字の木から、片足で逆さまに吊るされた若者が描かれています。苦しんではおらず、頭には光の輪がかかり、穏やかな顔をしています。正位置では「立ち止まること」「見方を変えること」「手放すこと」を、逆位置では「報われない我慢」「身動きの取れなさ」を表すとされます。
名前と番号
| 日本語 | 吊るされた男(吊られた男とも) |
|---|---|
| 英語 | The Hanged Man |
| イタリア語の古い名 | L'Appeso(ラッペーゾ、吊るされた者)、Il Traditore(イル・トラディトーレ、裏切り者) |
| フランス語の古い名 | Le Pendu(ル・パンデュ) |
| 番号 | 12(XII) |
正位置の意味
キーワード:立ち止まる、見方を変える、手放す、受け入れる、待つ
正義で物事を秤にかけたあと、次に来るのは、秤そのものをひっくり返してみることです。吊るされた男は、動けない状態を、自分から受け入れている人です。
正位置の吊るされた男は、今は動かずに立ち止まるときを表します。思うように進まない状況も、逆さまから見れば、別の意味が見えてくる。これまでのやり方や、こだわっていたものを手放したとき、新しい理解が訪れる、と読まれます。目先の損を受け入れて、もっと大切なもののために時間を使う、という意味の「犠牲」を表すこともあります。
逆位置の意味
キーワード:報われない我慢、身動きが取れない、執着、無駄な犠牲
逆位置では、立ち止まることが実りにつながっていない状態として読まれます。
ただ耐えているだけで、何も変わらない。人のために我慢を重ねて、自分をすり減らしている。手放すべきものに執着して、身動きが取れなくなっている。正位置の「待つ」が、意味のない足踏みに変わった状態です。我慢を続けることそのものが目的になっていないか、を問いかけるカードと読まれます。
絵に描かれているもの
- T字の生きた木:葉の茂る木は、命とつながっていることを表します。T字はギリシャ文字のタウの形です。
- 組んだ脚:ライダー版では、片足を曲げて数字の「4」の形をつくっています。
- 頭の光の輪:苦しみではなく、悟りや気づきが訪れていることを表します。
- 穏やかな顔:吊るされていることを、自分で受け入れているしるしです。
- 後ろに回した手:自分から手出しをせず、ただ委ねている姿勢です。
歴史
吊るされた男は、もとは罰を受ける「裏切り者」の札でした。
ルネサンスのイタリアでは、裏切り者や借金を踏み倒した者を、片足で逆さまに吊るした姿で町の壁に描き、さらし者にする習わしがありました。15世紀のヴィスコンティ=スフォルツァ版の吊るされた男も、この「恥辱の絵」と同じ姿で、イタリアでは「裏切り者」とも呼ばれていました。
17〜18世紀のマルセイユ版でも、二本の木のあいだに片足で吊るされた若者が描かれています。
18世紀末、クール・ド・ジェブランは、この札は上下が逆さまに刷られたもので、本来は片足で立つ「思慮」の絵だと考えました。19世紀以降の秘教の研究者たちは、自ら進んで身を委ねる人、悟りを得る人として読み直しました。ライダー版はその考えに沿って、頭に光の輪を描き、穏やかな顔にしています。罰の札から、気づきの札へと、意味がほとんど反対になったカードです。
対応
| ヘブライ文字 | 占星術・元素 |
|---|---|
| メム(מ) | 水 |