女教皇
THE HIGH PRIESTESS · II
女教皇は、大アルカナの2番のカードです。白と黒の二本の柱のあいだに、巻物を膝に置いた女性が静かに座っています。正位置では「直感」「静けさ」「内なる知恵」を、逆位置では「秘密」「思い込み」「心を閉ざすこと」を表すとされます。
名前と番号
| 日本語 | 女教皇(女司祭とも) |
|---|---|
| 英語 | The High Priestess |
| イタリア語の古い名 | La Papessa(ラ・パペッサ、女の教皇) |
| フランス語の古い名 | La Papesse(ラ・パペス) |
| 番号 | 2(II) |
正位置の意味
キーワード:直感、静けさ、内なる知恵、神秘、待つこと
魔術師が外へ働きかける人なら、女教皇は内側を見つめる人です。彼女は動かず、語らず、ただ座っています。
正位置の女教皇は、言葉や理屈になる前の知恵を表します。急いで答えを出さずに、心の声や小さな違和感に耳を澄ましてよい、と読まれます。学びや研究、ひとりで考える時間、まだ表に出ていないものごとにかかわる場面でよく出てくるカードです。相手について出た場合は、穏やかで思慮深い人、本心をすぐには見せない人を表すこともあります。
逆位置の意味
キーワード:秘密、思い込み、心を閉ざす、表面だけの理解
逆位置では、女教皇の静けさが閉じた形で読まれます。
自分の殻にこもって人を寄せつけない、大事なことを隠したままにする。あるいは、直感と思い込みの区別がつかなくなり、見えていない部分を想像で埋めてしまう。知識を表面だけなぞって、わかったつもりになる状態を表すこともあります。立ち止まって、自分が何を知っていて何を知らないのかを確かめる時期と読まれます。
絵に描かれているもの
- 黒と白の二本の柱:エルサレムのソロモン神殿の入り口にあったとされる柱で、ライダー版では「B(ボアズ)」と「J(ヤキン)」の文字があります。光と闇、表と裏など、対になるもののあいだに立つことを表します。
- 巻物:ライダー版では「TORA」の文字があり、半分は衣に隠れています。知恵はすべてが明かされているわけではない、という意味に読まれます。
- 足もとの三日月と、頭の冠:月の満ち欠けを思わせる冠と三日月は、月の女神、移ろうもの、無意識のしるしです。
- 柘榴の模様の幕:後ろの幕の向こうは見えません。柘榴は豊かさと、まだ開かれていない秘密の象徴とされます。
- 胸の十字:信仰や、天と地を結ぶもののしるしです。
歴史
女教皇は、カードの中でも成り立ちがはっきりしない一枚です。
15世紀イタリアのヴィスコンティ=スフォルツァ版では、修道女の服に教皇の三重冠をかぶった女性が、本を手にして座っています。このモデルについては、ヴィスコンティ家と縁のあった修道女マイフレーダ・ダ・ピロヴァーノだとする説があり、研究者のあいだで知られています。中世に広まった「女教皇ヨハンナ」の伝説と結びつけて見る人もいます。
17〜18世紀のマルセイユ版でも「ラ・パペス(女教皇)」として、三重冠をかぶり本を開いた女性が描かれています。教皇・皇帝・女帝と並んで、聖と俗の権威を表す四枚の一つでした。
18世紀末、クール・ド・ジェブランはこの札を古代エジプトのイシスの女神官と考えました。この見方を受けて、ライダー版は「ハイ・プリーステス(女の大祭司)」と名前を改め、教皇の冠を月の冠に、本を巻物に描き替えました。キリスト教の教皇から、神秘の神殿を守る巫女へと姿を変えたのです。
対応
| ヘブライ文字 | 占星術・元素 |
|---|---|
| ギメル(ג) | 月 |