静けさが降りる朝、二本の柱がやわらかな陰影をつくる。その間にベールは波打ち、向こう側の世界をぼんやり隠している。水盤に映るものは、ほんのり光をまといながら、触れれば消えてしまいそうなほど儚い。巻物は閉じられ、そこに記された言葉は誰の目にも触れないまま、深い秘密として守られている。
その昔、ギリシャの神殿でも東洋の寺院でも、聖域の入口には必ず二本の支えがあった。そこをくぐる者だけが真実に近付くことができると信じられていた。ベールに隠された世界は、夜明け前の庭のように静かで、誰も知らない神話の断片が眠る。古代の女神たちは、秘密を抱えたままその庭を歩いた。彼女たちの髪や衣には、深い果実のような色がしっとりと染みこんでいた。
中東の渓谷や地中海沿岸の村では、晩夏の終わりに甘い香りが広がる。果樹園で手摘みされたばかりの実は、まだ朝靄を含んでいて、指先で触れるとやわらかく、皮の内側には透明な果汁が透けて見える。古い市場のテーブルには、たくさんの籠が並べられ、その実は町の人々の日常の贅沢として食卓に昇る。遠く離れた大陸でも、寒い時期に人々が集まる祝祭の席には欠かせない果物だった。その果実は、豊かさとともに、目に見えぬ知恵や直感の象徴としても大切にされた。
ヨーロッパの修道院では、こうした実を煮詰めて瓶に閉じ込めると、冬の間の静かな読書や祈りの時間のための保存食となった。絹のような布で包まれた籠は、旅する人への贈り物になる。東方の国々では、同じ実を使って染色をした織物が生まれ、儀式や祭事の晴れ着に仕立てられた。その色合いは、遠い星空のような奥行きをもちながら、どこか温かな手触りを伝えてくれる。
教皇の前に置かれた巻物は、まだ開かれていない。だからこそ、静かに周囲を観察したり、ひとり時間を過ごすことが大切になる。台所に密かに残しておいた果実を一つ、切って食べてみる。窓辺でやわらかな布を手に取り、何かを包んだり磨いたりして心を整える。静かな午後に本を手に取る。手帳の隅に、夢で見たものや、心に浮かんだまま言葉にならなかった思いを書きとめる。
今日のラッキーカラーは、プラムです。
Lucky Color: Plum — #DDA0DD秘密の奥にこそ、今日のやさしさが隠れています。そっと見守るようなひとときを。