塔が崩れる音は、遠雷が鳴るようにゆっくりと地平に響き、瓦礫となった石の隙間からは昨日の影が静かに立ち上る。嵐に倒された柱を拾い上げる者は、神話の中で都市を再建した王の手元にも似る。イタリアの丘陵地、陽の傾きの中に投げ込まれた土の塊が、時間をかけて焼かれ、古代の修道士が聖堂の壁を塗った色へと変わる。手が触れるとひんやりとした感触があり、場所によっては砂埃に混じり、埃っぽい大地の香りをまとっている。時折、雲に遮られた光が、荒れた野の畑に影を落とす。
断たれた塔の先端には、昔の戦士が使った盾や壷が転がる。掌に重さを感じる粘土の塊は、遠い国で職人がろくろを回し、長い手で器を作った姿を思わせる。ヨーロッパの村で大地を掘り返す農夫の爪に残る色。時代の裂け目を縫うように、地中海の冬の空気が乾いた風となって、崩れた壁をなでていく。古びた書物の装丁や、修道院に残る祭器の縁。かつて旅人が腰を下ろした椅子の脚、火を焚いた炉の周りに落ちた灰の跡、そして今も暮らしの中に潜む食卓の皿。
沈黙の中で、崩れたものを塔だと言い張りながら、実は静かに新しい形を探している。塔の瓦礫の間に落ちている小さな焼き物のかけら、土の匂いを帯びた素朴なスープの鍋、手に馴染む古い椅子の肘掛け。窓辺に置かれた乾いた葉の鉢、秋の畑の根菜を洗う桶。
今日できる小さな動作は、机の上で土の器を手に取ること、料理の途中で根を洗いその色を眺めること、椅子の肘掛けに手を沿えて呼吸を感じること、または一輪の乾いた葉を拾い上げて棚に飾ること。
今日のラッキーカラーは、シエナです。
Lucky Color: Sienna — #A0522D崩れたものにも、静かな息遣いが宿ります。
新しい始まりは、土の中から生まれます。