崩壊の一歩手前、瓦礫の中に指をかけて、まだ塔の姿を思い描こうとする。激しい稲妻が遠くで鳴り響き、空気はわずかに湿り気を帯びながら、何事もなかったかのように静けさを守る。古代の神話では、天に届かんとする積み重ねがもろくも崩れ、その残骸に名を与えた人々がいた。メソポタミアの大地、砂嵐にけぶる都市の片隅には、かつて高さを誇った祈りの階段も、今は均された地面と化している。そこでは人々が足元の塵を払いながら、かつての城壁を思い出す。時の流れは傷跡を柔らかく覆い尽くし、転がる瓦礫の上では砂埃が風に舞う。
遥か西、北アフリカの乾いた台地には、草を食む動物たちが群れをなし、太陽の光に染められた草原の影が地面に落ちる。大地は豊かな穀倉ともなり、古来から小麦が穂を垂れ、収穫を終えた後の畑には、短く刈り取られた茎と土が静かに息づいている。やがて人々はその実りをまとめる袋を縫い、長い旅の果てに生まれた帆布や袋が荷を支えた。地中海沿岸の港町で働く船乗りの手に、街道を往く旅人の肩に、丈夫な生地が擦り切れるまで寄り添った。その生地の色は、時とともに薄れ、けれども新しい命を宿して受け継がれる。
ある家では、暖炉のそばに置かれた古い肘掛け椅子が、長い年月を経て柔らかくなっている。子どもたちはそこで本を開き、大人は熱い茶を注ぐ。陽だまりの午後、窓辺の鉢植えには乾いた草が揺れ、道具棚には使い込まれた刷毛や革の靴が並ぶ。埃を払い、靴を磨き、新しい袋を縫い直し、乾いた庭に水をまく。壊れた塔の影を気にせず、目の前のものに手を添える日常が、新たな秩序を織り上げていく。
今日のラッキーカラーは、タンです。
Lucky Color: Tan — #D2B48C小さく積もる日々が、静かに守る力となります。