喇叭は鳴り候へども、人は石棺の縁に坐りたるままにて、靴は古き塵の上に休み、手は膝を抱き候。河の渡りは遠くに待ち候へども、決意は躊躇の帳の後ろに留まり候。景色は行ひの前の刻に停まり、息は止められ、空気は昨日の言はれざる約にて厚く候。復活は拒まれず、ただ延ばされ候。外の世は進み候。地は乾き、朝の日は鋭く、呼びは答へられず候へども、心の中に高く候。その布の色は砂色に御座候。
教会の庭の向こうどこかにて、長き草は落ち着かぬ風に震え候。こは夏に子供の股引を染むる草、古き帝国の鉄路の堤を覆ふ類、塵と遠き征旅をかつて行進したる制服へ織られたる類に候。昨日の世の布、粗く織られ、頑丈にて実用なるものは、決められざることに対して幾ばくかの庇ひを出し、伝はりて繕はれたる古き野の上衣に身を包むが如くに候。行ひの記憶は縫ひ目の一つ一つに縫はれ候。布は見慣れ、土の香と、煙草と金属の磨きの淡き跡を帯び、未だ分たれざる物語、耐久と待ちの匂ひに候。
朝餉の卓にて、鉢は茹でて切られたる馬鈴薯を保ち、皮は身のために残され、割れたる胡椒と塩にてまだらに候。傍に、皮に粉を散らしたる麺麭が御座候。温き厨にて生地の緩き膨らみを、忍耐にて見たることの思ひ出の如くに候。食事は凝りては御座なく、明日呼びに応へる勇気を見出だすかもしれぬ者を支ふるに足るのみに候。器具は古く、鈍き叉、欠けたる琺瑯の杯、怠りの季節を耐え、なほ用立ちたることを待つ類に候。
窓の外、風は乾きたる路に沿ひて塵を動かし、兵と羊飼ひの知りたる類に候。野は地平まで伸び、容赦なく広く、空気は日に温まりたる草と、遠き雷雨の香にて満ち候。天候さへ間を置くが如く、久しく待たれたる雨の前に息を止め候。古き物語にて、かかる景色は、遂に召しに従ひ起きて歩む者に渡られ候へども、ある者は縁に坐り、より優しき命令、より柔き約を聴き候。
この躊躇を感ずる人は、高き草の中を歩き、種を手に擦らせ、静止にも肌理の御座候ことを思ひ出となし候。庭の土を返せば、古き鈕あるいは貨幣を見出だし、今の落ち着かなさと、久しく前の行ひの刻とを繋ぎ候。減りたる帯金を磨き、あるいは上衣の衣囊を繕ひ、答へがもはや延ばされざるときの支度の、小さき仕草となし候。あるいは日の当たる場所に強き茶の杯とともに坐り、塵の動くを見、その日の選択の重みを感じ候。
今日の色は砂色に御座候。
Lucky Color: Khaki — #F0E68C呼びは待てども日は進み、いづれの間も支度に御座候。