法王
THE HIEROPHANT · V
法王は、大アルカナの5番のカードです。二本の柱のあいだに座った宗教の長が、片手を上げて祝福を与え、その前に二人の弟子がひざまずいています。正位置では「教え」「伝統」「信頼」を、逆位置では「形式主義」「束縛」、または「型破り」を表すとされます。
名前と番号
| 日本語 | 法王(教皇とも) |
|---|---|
| 英語 | The Hierophant |
| イタリア語の古い名 | Il Papa(イル・パーパ、教皇) |
| フランス語の古い名 | Le Pape(ル・パプ) |
| 番号 | 5(V) |
正位置の意味
キーワード:教え、伝統、信頼、助言、つながり
皇帝が世の中の秩序なら、法王は心の秩序です。人々は力に従うのではなく、教えを求めて法王の前にひざまずいています。
正位置の法王は、受け継がれてきた教えや習わしに学ぶことを表します。信頼できる先生や先輩の助言を聞く、学校や資格で学ぶ、決まった手順をていねいに守る。家族や地域、組織のつながりのなかで支え合うことも表します。結婚や契約など、社会のなかで約束を交わす場面で出てくることの多いカードです。
逆位置の意味
キーワード:形式主義、束縛、型破り、頼りすぎ
逆位置の法王は、二つの方向に読まれます。
一つは、教えや決まりが形だけになって、人を縛っている状態です。中身を考えずに前例に従う、肩書きや常識に頼りすぎる、誰かの言うことを鵜呑みにする。もう一つは、古い型を自分から破る方向です。決められた道から外れて、自分なりのやり方を探す時期とも読まれます。どちらになるかは、それが息苦しさから来るのか、自由を求める気持ちから来るのかで考えます。
絵に描かれているもの
- 三重冠:三つの層は、天・地・地下、あるいは体・心・魂の三つの世界を治めることを表すとされます。
- 祝福する手:二本の指を立てた手は、見える世界と見えない世界の両方を示すしぐさです。
- 三重十字の杖:教えの権威のしるしです。
- ひざまずく二人の弟子:教えを受け継ぎ、広めていく人たちです。
- 交差した二本の鍵:天の国の門を開く聖ペテロの鍵で、隠された知恵への入り口を表します。
歴史
法王の札は、もとはそのままローマ教皇の姿でした。
15世紀イタリアのヴィスコンティ=スフォルツァ版では、三重冠をかぶった教皇が玉座に座っています。皇帝と並ぶ、もう一つの最高の権威です。17〜18世紀のマルセイユ版では「ル・パプ(教皇)」と呼ばれ、教皇の前に剃髪した二人の聖職者が描かれています。
一方で、宗教の長を遊びのカードに描くことには、ときに反発もありました。地域によっては教皇と女教皇の札を、ローマ神話のユピテルとユノに置き換えた版も作られています。
ライダー版を構成したウェイトは、この札を「ハイエロファント」と名づけました。古代ギリシャのエレウシスの秘儀で、聖なるものを示した大祭司の呼び名です。特定の宗教の教皇ではなく、伝統的な教えと、人と神とをつなぐ役目を表す札として描き直されました。
対応
| ヘブライ文字 | 占星術・元素 |
|---|---|
| ヴァヴ(ו) | 牡牛座 |