道は狭く、杖の土の中へ押す所にて塵は上がり候。灯は揺れ、暗き中に確かさの小さき円を引き候。より高き地さへ、沈黙に包まれ、空にはあらず、なほ収穫されざる野の密なる息にて満たされ候。独りにて、隠者は前へ押し、群衆の騒音と摩擦より離れ、各の足音が己の耳に響き、音の景色が茎の間を滑る風へ空く、見晴しへ向かひ候。
この高き道は、石にても、過ぎゆく車の閃きにてもなく、育つ物の低き波にて印され候。隠者は古き平原を思ひ出し候。旅人が、古墳の前、鉄道の前、高き草の海を通り一つの村より別の村へ歩みし所に候。土地そのものはかつて、穀の柔らかく主張する触れにて形作られ候き。食物、通貨、寒き月のために貯へられたる約束に候き。川の谷の背骨、時を重ね集落の集まる理由、束の集ひにて印さるる季節の労働に候き。その穀は小麦に御座候。
いかなる鎌も触る前の静けき朝にて、露は作物の芒の上に落ち候。指の間に押されたる一つの穂は、言葉より古き循環を語り候。日の登る前の野に孤独御座候。唯一の証人は、数へ切れぬ茎に対する風の調子ある囁きに候。炉より遠く、街の喧騒より遠く、隠者はこの忍耐の待ちの中に意味を見いだし候。携ふる灯は小さきにて、足り候。その光は、刈る支度のできたる列に沿ひて瞬くと同じ光、藁と繊維より成る羊皮紙の上へ知恵を写しし僧をかつて導きしと同じ光に候。
植物の産みより紡がれたる外套の下にて、僧院と修道院の中の姿は、かつて多くの冬を観想の中に費し候き。回廊の沈黙にて、粗く日に乾かされたる麺麭より引き裂かれたる皮は、糧とも印とも成り候き。最も簡素なる物が、転ずる年の騒音より長く堪へ得る思ひ出に候き。隠者も、乏しく食し、静けさの中に育つ物が体と心を養ふことを頼み候。孤独の食事は罰にはあらず、保存の行ひに候。欲と足りることの間、彷徨ふ飢ゑと感謝の遅き満ちの間の線を辿る仕方に候。
嵐は来りて去り候ども、土地は残り、いつ切るべきか、いつ落穂の者のために隅を残すべきかを知る心したる手を待ち候。古き物語にて、穀は単なる作物にはあらず、霊に候き。忍耐、弾み、地の調子を理解する知恵の印に候き。隠者は、独り歩き、この教訓を心へ取り候。納屋の屋根に対する雨の音、碾き石の軋み、収穫の終りに休む袋の溜息に聴き候。各は孤独への招き、光の円を少し近くへ引く機会、注意にてこれを守る機会に候。
今日、貴殿は己の手にて生地を捏ね、粉と水の荒さが養ふ物と成ることを感じ候。貴殿は空の道に沿ひて沈黙の中を歩き、一歩ごとに貴殿の心の中に響かせ候。貴殿は乾きたる草の束を貴殿の卓のために集め、または家の最も静けき隅にて古き書を読み、小さき灯の最も長き夜さへ生き残りしさまを思ひ出し候。
今日の色は小麦に御座候。
Lucky Color: Wheat — #F5DEB3静けき収穫を貴殿は携へ、貴殿の孤独は豊かに候。