Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 尼院長

尼院長の浅碧。中央の鏡に色が映る絵

浅碧

正位 · #AFEEEE

尼院長の後ろにて、二つの柱は静けき対照の中に立ち、明かしの縁にて止まれる世を囲み候。そのあひだに帳はかかり、果実とほのかなるしるしとにて刺繍され、襞は向こうに横たはるものの秘密を隠し候。尼院長は穏やかに坐し、足は動かぬ水の面の上に休み候。膝の上にて、文字の印を付けたる巻物は閉ぢたまま、内なる知恵は、受け取る準備の成る刻を待ち候。すべては静かにて、なほ、語られぬ知の約にて満ち候。

古き広間に響く物語にて、隠れ泉が御座候。石灰岩の崖の下に納まりたる水の池に候。かかる池の面は、張り出しの下に静かに横たはり、空を、透き通る硝子の一片の如く映し候。そこの空気は夏にすらつねに涼しく、霧は日の早くに立ち、石に沿ひて巻かれ候。それらの秘密の場所にて、水は幾世紀の記憶を抱き、足跡に乱されず、上なる岩のあひだを光の滑る、短き分のほかは日に触れず候。

昔、亜細亜の高き砂漠を越える旅人は、野生の薬草と草とに縁取られたる緑地にて休み候き。そこにて黎明、空は土地の上に開き、日の熱の来る前、涼しさが空気にかかり候き。商人と巡礼とは、繊細なる陶の杯より飲み候き。各の杯は遠き空の色調にて釉をかけられ、その色は丁寧なる錬金と、工匠の耐心ある手とより来たり候き。これらの杯にて、湯気は茉莉の茶の上に巻かれ、黎明前の静けさに加はり候き。杯そのものは小さく候へども、遠き王朝の印を帯び、絹の道に沿ひて沈黙の中に運ばれたる知の思ひ出に候き。

家の内にて、絹の肩掛が杉の櫃に整へて折られ、織りは細やかにて触れれば涼しく候。肩掛はかつて、静けき朝と、独りの読書の習ひとを貴ぶ人のものに候き。日のなほ始まらぬとき、肩の上に掛けて着られ、露が窓硝子に集まる刻、世の黙して感じらるるあひだに候き。石も御座候。古き鏡と首飾との枠に嵌められたる石にて、川の形づくり、時の転がして滑らかにせしものに候。かかる石は夢を抱くと云ふ者も候。一つを携ふることは、秘密を心の近くに安全に保つことに候、と伝へ候。

尼院長は閾に自らを保ち、内にも向こうにも御座なく候。その在ることは、高山の湖の早朝の空気の如くに候。霧は面に沿ひて漂ひ、日の出にて溶くる前に候。巻物の開かるる前、何も語られぬ前の日の静けさにて、最も内なる直覚のみが在るときに候。これは、雨の後の僧院の中庭の気に候。外の世は洗ひ清められ、音は、石に当たる水のやはらかき打ちのみに候。

今日、人は開けたる窓に立ち、黎明の前の涼しく湿る空気を吸ひて、日を始めることも候。陶の杯へ茶を注ぎ、面に結露の集まるに気づき、貴殿、その温みを手に保ち候へ。肩掛を折り、坐るところに置き、話す前に待つことの値と耐心とを、自らに思ひ出させ候へ。小さき滑らかなる石を袂あるいは机の上に保ち、澄みあるいは静けさの要るときに、そこへ戻り候へ。

今日の色は浅碧に御座候。
Lucky Color: PaleTurquoise — #AFEEEE黙す朝ごとに、隠れし知恵は共に御座候。

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