輪は回るべく候へども、逆位の牌はその拍子を中断し候。縁の獣と印は、動きと静止とのあひだに懸り、翼は垂れ、足は踏ん張り候。円は罠と成ることを脅かし、回るものには御座なく、嵌まりしものに候。かかる時、人の手は定かなるもの、忍耐と歳の緩き集ひを知りしものを求め候。炉の傍に石が御座候。丸く候へども動かず、煙はその窪みたる面を辿り候。上の火は揺れ候へども、石は残り、熱を吸ひ、炎の死にたる後も長くこれを保ち候。その色は鼠に御座候。
伝説はかかる石の周りに育ち候。古き村にて、玉石は曲りたる街を縁取り、各々は数へ切れぬ足にて滑らかに擦られ候。急がず、世界の踏むことに怯まず候。車輪の轍と、荷車の輪の淡き記憶が、面を印し候。この石はすべての旅とすべての間を覚えると言ふ者も候。十字路にて怯みし馬、雨の過ぎるを待ちし商人に候。運が下るが如く見ゆる時、この石にて作りし低き壁に坐り、足を僅かに地より離し、息を涼しき空気と混ずることは、役に立ち候。世界は貴殿の下の重みへ狭まり、輪が止まる時にも、貴殿を支ふるに足る地があるといふ感に候。
旅人とその物語は、しばしば空の重く懸る所に集ひ候。黎明、霧は川より転がり、都の屋根を覆ひ、縁を和げ、建築をぼかし候。船は波止場にて怠り、綱は軋み、一日の業は澄みの戻るまで延ばされ候。漁人は風化したる網の傍にて煮物を啜り、静けさを待ち候。雲を載せる空は昼にも夜にも御座なく、日の判決を控へ候。これは世界の止まりて見ゆる時、すべての意図が行の前の静けさに捉へらるる時に候。輪の巡りが逆さに成る時、人はかかる天候の伴に安心を見出し、時の過ぎを這ふまでに緩め、風景より鋭き対比を空にし候。
家にて、小さき道具と器は窓の傍に積もり候。金属の手桶、舌なき鐘、年月の沸騰と冷えし茶にて印されたる琺瑯の鍋に候。このものは淡き朝を受け、静かにこれを集め、輝けるものを何も映さず候。続きを語り候。一つの手よりもう一つの手への緩き移りに候。卑しき羊毛の肩掛け、椅子の上に畳まれ、多くの冬を通して温みを保ち、再び保ち候。家の移ろふ運の如何によらず、耐ふるものに候。
野生の所にて、地衣は古き木の皮に殻を作り、忘れられたる墓石の上に広がり候。その形は葉にも花にも御座なく、より持続するものに候。旅人はこの印に触れ、所の歳を測り、緩く意図ある育ちを辿り候。厳しき天候にても、この伴は業をなし、最も硬き面を和げ結び、嵐より長く残る忍耐の力に候。
今日、輪の緩き下りを感ずるならば、貴殿は石より彫りし腰掛に休み、思ひを朝の霧の如く沈ませ候。好みの肩掛けを肩に巻き、鉄瓶の笛を待ち候。あるいは外へ出て、屋根と畑の上に雲の集まるを見候。黄昏の落ちる時、戸の時に擦れたる欄に手を走らせ、それが定め来たりしすべてを思ひ出し候。この一瞬は、待つもの、他のすべてが休まらぬ時に定かさを保つものの伴へ、貴殿を入れ候。
今日の色は鼠に御座候。
Lucky Color: Gray — #808080間は貴殿を保ち、巡りは再び来ることを知り候。