牌の大なる輪は、かつて高く昇りしものが、今は下りに労し候。巡りが間を望む感にて重く候。古き縁は、偶然の力よりは、手が押してこれを静めんとするがゆゑに遅く成り候。巡り終らぬ前に、輻にて運を捉ふるが如くに候。縁に刻まれたる姿、獣ら、冠を戴きて待つものは、息を止め候。塵は軸に集ひ、過ぎし時と、次に来るものへの待ちの印に候。下にて、地は茂りにも裸にも御座なく、数へ切れぬ足に擦られたるものに候。すべての通過と、すべての停止を覚える轍に御座候。
歴史にて、軍は大陸を横切り候き。伝説の誇らしき戦場にては御座なく、踏み固められ平らに成りし果てなき路に沿ひて候き。人は堅き布を着候き。務めのために織られ、実用にして軽く、行進する地を映すものに候き。雨が陣に落ちる時、天幕と外套は嵐を吸ひ、乾けば抑えられたる柔らかさと成り候き。遠き港の賑はしき市にて、商人は同じ布より裁ちし袴を好み候き。日と塵を通して耐久く、赦すものに候き。縫ふ者はこれを膝の上に伸ばし、午後の風が戸を鳴らすなか、新しき仕事着の型を切り候き。
都より遠きいづこか、若き小麦の畑は、季節はづれの風に撓む準備にて立ち候。収穫はまだ呼ばれず、穀の頭は、緩く回る輪に合ふ忍耐にて、前後に頷き候。室内にても、食料庫の棚の薄き光にて、粉の袋はちょうどそのやうに休み、一日の調理を量りし手に面を撫でられ候。庭か生垣にて、褪せたる草は春の終にしがみつき、下を走る獣へ種と庇ひを渡し候。砂漠の上の高き静止の空気にて、嵐の後に霞の滞ることあり候。世界はより柔らかく見え、空そのものが古く擦れたる制服に包まれたるが如くに候。その色は砂色に御座候。
変る巡りを止めたき衝動と共に、願は昇り候。何も失はれぬやう、一瞬を定かに保たんがために候。されど輪は永久には保たれず候。手がいかに優しく抑ふるとも、その重みと目的は動きを押し候。この間にて、人は床を掃き、隅に集ひしものを集むることに向き候。帆布の鞄に書を満たし、静かなる腰掛へ出で候。あるいは多くの季節を見し襯衣を繕ひ候。あるいは食料庫の前に立ち、麺麭を捏ね候。粉の塵は、すべての旅と帰りの記憶の如く昇り候。
耐ふるものに慰めは御座候。撓み候へども折れぬ畑、多くの手にて形づくられし布、遠き雨の定かなる静けさに候。今日の運は、回ることにては御座なく、間に見出され候。一瞬の重み、布の如く馴染み、足の下の路の如く古きものに御座候。
今日の色は砂色に御座候。
Lucky Color: Khaki — #F0E68Cしばし止まり、耐ふるものの残す感に触れ候。