Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 力

力の濃赤。中央の鏡に色が映る絵

濃赤

逆位 · #8B0000

牌の世界にて、女は触れにて獅子を定まらせ、野を導く静けき力に候。されど牌を逆位にすれば、触れは握りと成り、優しきは去り候。獅子の鬣は女の手の下に逆立ち、室の空気は厚くなり候。沈黙の和たるべき物は硬くなり、革の帯の締めのごとく、乗り手が信頼にてはなく抵抗に逆らひて引くとき、馬の顎の上の轡の譲らぬ噛みのごとくに候。

高加索の高地の何処かにて、古き物語は、鉄の鋲の靴を履き、帯に曲りし刃を保つ戦士を語り候。刃は乾きたる牛の血と同じ色の鞘に収められ候き。この戦士は、野の川を征服せむには、まづ奔流の中に立ち、杖を石の床の深きへ植え、動かされることを拒まねばならずと信じ候き。流れはより強く押し候。体は硬くなり、筋肉は張り、杖は裂け、川はより大きく咆哮し、怯まず候。古き山の祠は、祭壇の上に裂けし石榴の色の筋ある石より築かれ候。供物は敬なるべきにて、刃の余りに荒く押すとき、種は弾け、汁は祭司の手首を小川となりて下り候。甘き実はそこに御座候ども、力は甘さを抜き候。

黄昏の市にて、染みし前掛けの屠夫は肉切の刃を研ぎ、燻製の腸詰の連の傍らに置き候。空気は香料の香り、収穫と屠りの記憶にて重く候。急げば、刃を余りに固く握り、肉は譲るべき所にて裂け、筋は清く切る代わりに弾き候。教訓は外へ波打ち候。強ふることは、形作られ得る物を破る危ふきに候。

家にて、古き天鵞絨の帷は隙間風の窓の上に掛かり候。幾年も昔、手は裾へ精巧なる結びを刺繍し、糸の捩りの中に美と安らの双方を見いだし候き。今、風が硝子を鳴らすとき、誰かは帷を引きて閉ぢ、余りに強く引けば、布は棒に逆らひて張り候。室は温かくあるべきにて、その仕草は微かなる印、手の性急の記憶を残し候。その色は濃赤に御座候。

嵐が喀爾巴阡の平原の上に集ふとき、雲は低く攪き、土を染むる雨を運び候。羊飼ひは火の傍らに蹲り、軍に踏みにじられたる野の物語を思ひ出し候。泥は靴に、車の輪に、暗き土に付く甜菜の根に付き候。土地は季節の許す物のみを譲り候。貴殿が必死の手にて掘れば、根は弾け、貴殿の掌に残る物は、求めし物より少なく候。

今日、逆位の獅子と手の教訓はこれに候。努むるときにも、緩く持ち候。石榴を貴殿の卓の上に置き、優しく切り候。革の帯に油を引き、その重さを感じ候ども、快を越えて締めず候。天鵞絨の張りを手にて吊り、各の襞を伸ばし、張りの点まで引かず候。雨の降れば、貴殿の植うる前に、地の和らぐに任せ候。頑なる土の中へ、何も強ひず候。

今日の色は濃赤に御座候。
Lucky Color: DarkRed — #8B0000力とは貴殿が握りを緩むる時を知ることにて、忍耐はより静けき力に御座候。

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