天蓋は頭上に伸び、動く戦車の後ろの柱に繋ぎ留められ候。その布は、欧羅巴の高き野の夏の前掛にかつて用ひられし同じ糸より織られ候。小麦の畝のあひだに野の花の栄ゆるところに候。中央にて、二頭の獣は馬具に力み、その勢は御者の手が双方の綱を固く均等に保つときにのみ決然と候。城門は前に聳え、楣は古き物語を彫られ、その石は仏蘭西と独逸の境の近くの開けたる丘をかつて掃ひし同じ涼しき風に触れられ候。六月、野が矢車菊の散らばる海と成るところに候。
この向きの物語は、操られたる駆りの物語に候。御者は獣のみに運ばれず、車輪の勢のみにも運ばれず候。手綱を張りて均等に保つ規律に運ばれ候。頭上の天蓋は庇以上のものに候。町の遥か外の野の思ひ出に候。六月ごとに、小さき光る花弁の静かなる祭をもたらすところに候。これらの野にて、女は世紀のあひだ矢車菊を集め、耳の後ろに挿み、あるいは土地の行列のための花環に通し候き。手は染まり、香高く候き。花は強情にて、麺麭のために労する農夫の区画の縁に野生に育ち、鋤と刃の論理にては馴らされず、摘み去られず候。
これらの花に神話が御座候。神が見えず歩むことを望むとき、矢車菊のあひだに隠れ、細き茎のあひだに低く屈み、自然の天蓋にて人の目より庇はれると言はれ候。中世の療治の者は暁に花を集め、花弁より淹れたる浸しは視界を澄まし、決を鋭くすると信じ候き。ある場にて、花弁は祈りの書の頁のあひだに圧され、あるいは子どもの衣の裾に縫ひ込まれ候。世界の敷居、城門、村の広場、野生と耕されたる地の縁にて、見えざる守りを供へ候。
御者の旅は、石の門を通るのみには御座なく候。天候と季節を通ることにも候。一夜の雨の後、空の掃ひ清められたる朝、野の上の光は揺らめくやうに見え、澄みと、二つの異なる力を前へ導くに要する鋭き焦点を約し候。かかる日、旅の人は戸口に残されたる矢車菊の一握りを見、あるいは水桶の柄に絡められたるを気づくもよく候。望と執念の動きの静かなる印に候。
今日、人は単純なる仕方にて戦車の動きに応へるもよく候。貴殿が町の街路を歩くとき、野生の花を上衣の懐に挿みて運び、日々の志の手綱の上に手を着実に保つ小さき思ひ出とするもよく候。乾きたる矢車菊の花弁にて茶を一杯淹れ、香に開けたる野と遠き地平を思ひ出させるもよく候。古き亜麻布を見、その織りが戦車の上の天蓋に応へ、旅や訪ひのために麺麭の一塊を包むに用ふるもよく候。雨の後に窓を開き、見慣れたるもののすぐ外の何かへ向かふ道を空くるが如く、空気を通させるもよく候。
今日の色は矢車青に御座候。
Lucky Color: CornflowerBlue — #6495ED前への勢は、野生なるものと鍛へられたるものを対にするときに来候。