二人は最も早き光の中、庭の縁に立ち、世界の待つあひだ、二人のあひだに静けさが御座候。実を重く附けたる木が御座候。道は野生の金盞花を抜けて巻き候。静けさは不在には御座なく候。可能性に候。手は共に歩むとき触れ合ひ、なほ結ばれず、なほ離れず候。地面は露のなほ附くところ柔らかく、庭の空気は、植ゑられたるものと育ちゆくものの記憶を運び候。それぞれの選択は、響に候。二人が互ひを見て決する瞬間に、何かが始まり候。運命には御座なく候。選ぶといふ遅き仕事、それぞれの仕草、それぞれの言葉の中の合意に候。
古き川にて、人は泥と砂を篩ひ、微かな光を求め候き。冠、銭、あるいは家の印を圧したる婚の指輪に形作られ得るものの約に駆られ候き。王はそれを求めて山へ遠征を送り候き。日光は岩を打ち、脈は石を貫き、達し難く、忘れ得ず候き。かつて、川より遠き町にて、工人は貴き金属より繊細なる葉を打ち、恋人の外套の留金に嵌め候き。留金は飾りのみには御座なく候き。印に候。近くに着けらるる約に候。重みと約を帯びたる物に候。
遠き土地の祭の朝、麺麭屋は生地を甘き環に変へ、蜜の繊細なる層を刷き、次いで蕃紅花の筋を散らし、それぞれの塊が光を捉へ候。これらの麺麭は、婚のため、あるいは結びを見守る聖人の祭の日のために焼かれ候。卓にて、二人は共に麺麭を割り、各自が一片を裂きて相手へ供へ候。儀式は二人を結び、飢えと豊かさの双方を分かつ約に候。麺麭屋の手は古き約を覚え候。捏ね、形作る繰り返し、常の穀より美しきものの膨らむ満足に候。
正午、高地にて、日は容赦なく見え、野の揺らめくまで打ち候。その時、羊飼は杖に凭れ、金合歓の木の庇に羊の集まるを見候。空気は厚く、世界は溶けたる空の下にて遅くなり候。この烈しさの中にても、選択は避けられず候。井戸へのいずれの道か、運ぶいずれの仔羊か、分かついずれの陰か。熱は近くに圧し、その抱擁の中にて、最も小さき決さへ重く感じ候。信頼の問題に候。
町の心にて、宝飾の人は、かつて川より浚はれたる同じ元素より作られたる指輪を供へ候。今は尽きざる円に紡がれ候。見る者は窓にて足を止め、耐ふるものの約に引かれ候。指輪は最初の触れにて涼しく、肌に温まり候。一度選ばれし縁は、日ごとに新しくなる、との思ひ出に候。約の重みは荷には御座なく候。安心に候。固く、明らかにて候。
今朝、貴殿は麺麭を焼き、蜜にて甘くし、最初の一切れを大切なる人へ供ふるもよく候。古き指輪を掌に圧し、それを与へし手を思ひ出すもよく候。隣人の庭の金盞花に気づくために足を止め候へ。あるいは友の掌に銭を滑り込ませ、信頼の静かなる印とするもよく候。それぞれの行ひは、大切なるものへ貴殿を近づけ候。始まりは、選ぶことの中に見候。
今日の色は金に御座候。
Lucky Color: Gold — #FFD700手を可能性へ開き、選べば縁は始まり候。