Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 恋人

恋人の堇。中央の鏡に色が映る絵

堇

正位 · #EE82EE

二人は庭へ歩み入り候。そこにて選択そのものが、低く、手の届くところに垂るる実に候。貴殿が蜜蜂の羽音と、遠き黒鳥のさえづりを聞く場に候。空気は可能性にて厚く候。足元の道は柔らかく、代々の足音にて圧され候。その縁にて、野生の三色菫と香高き花は卑しき塊にて育ち、触れを招き候。それらは小さく、心の形をなし、繊細にて候。されども耐へ候。敷石のあひだと林の縁に常に栄え、多くの物語の始まりを静かに印す、生きたるものに候。これは決の庭に候。決められざる庭には御座なく候。ここにて、選ぶ行ひが二人を共にし、前へ歩むときその手を結び候。

上にて、空は広く伸び候。されどもこの囲ひには親密さが御座候。世界が静かに退きたるが如くに候。古き希臘にて、同じ類の花は、祭の花環のため少女に集められ、結びや約へ踏み入る者の冠に編まれ候き。欧羅巴の阿爾卑斯の草地にて、羊飼は草の中にこれを見、一輪を摘みて家へ持ち帰り候き。言葉には恥ずかしき、愛情の印に候。古き薬舗にて、これらの花の乾きたる束は硝子の後ろに納められ、心を和らげ、心を澄ますと信じられ候き。十字路に立つ者への、微妙なる薬に候。

かつて、寒き北の家の詩人が、これらの花弁を頁のあひだに圧し、その香は最も厳しき冬より長く残ると信じ候き。香は寝室の空気に漂ひ、日の当たる日々の思ひ出、芽吹く枝の下にて握られたる手の思ひ出に候き。ある村の厨にて、砂糖をまぶしたる花弁は婚の菓子の上に到り候き。単純なる甘さに候。選ばれしものは愛でらるる、との約に候。別の時と場にて、繊細なる布はこの花にて染められ、繊維は新しき性を帯び、祝ひや静かなる儀式のための肩掛と綬と成り候き。

春の雨の来るとき、短くやさしく、花弁の上に降りる霧をもたらし、庭そのものが稀なるものに触れられたる如く、花を光らせ候。恋人は古き樫の庇の下に足を止め、庭の自らを新しくするを見、雨は過ぎ、地は明日さらに花を出すと知り候。この瞬間、選択は荷には御座なく候。開きに候。二人は花を摘み、分かつ書の頁のあひだに圧すもよく候。家へ運ぶもよく候。あるいは始まりへの敬の印として、育ちたるままに残すもよく候。

今日、貴殿は野生の三色菫を一握り集め、寝台の傍らの小さき硝子に挿し、新しき繋ぎへのやさしき招きとするもよく候。雨の中にて一瞬足を止め、肌に滴を附けさせ、自らの庭に静かに休むあらゆる選択を思ふもよく候。甘きものを焼き、心づもりの印として砂糖の花弁を上に加へるもよく候。あるいは大切なる人へ文を書き、圧したる花を折りのあひだに滑り込ませるもよく候。

今日の色は堇に御座候。
Lucky Color: Violet — #EE82EE選択とやさしさの会ふところにて、新しき縁は始まり候。

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