Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 恋人

恋人の蘭。中央の鏡に色が映る絵

蘭

正位 · #DA70D6

牌の庭にて、二人の姿は枝の広がる枝と斑の空の下に立ち、手はなほ結ばれず、されども伸び候。空気は葉を抜け、肌の上を渡り、初夏の香と、選択の重みを運び候。その瞬間、急ぎは御座なく候。世界の常の美しさが押し迫るにつれ、注意のゆっくり開くのみに候。庭は古き物語を思ひ出させ候。花弁と可能性に囲まれて二人が出会ひ、互ひを選び、より大なる未知へ踏み出す心づもりにて、生の境の薄くなるところに候。

根と垂るる枝のあひだにて、繊細なる花の塊は下へ弧を描き、空に懸かる問ひの如く候。庭そのものが身を入れ、聞くやうに候。石の道と柔らかき土が、ここで始まりしあらゆる物語を覚ゆるが如くに候。儀式の感も御座候。されども易さもあり候。土は柔らかく、一歩ごとに華尼拉と香料の最も淡き跡を放ち候。ある土地にて、これらの花は稀少のゆゑに宝とされ候き。世紀の昔、商人は川岸を下り、山の道を越え、脆き形を編籠と絹の中に保ちて運び候き。遠き島にて、花弁は婚の花環に圧され、香の約は熱の中にて熟れ候き。

別に、温室は静かなる目的にて響くやうに候。土の筋の附きたる陶工の手は、根を豊かなる埴の床へ埋め候。淡き花は硝子に触れ、一つ一つがゆっくり開き候。厨にて、細き莢は小刀にて割られ、甘さの記憶を空気へ放ち候。時に選ぶのは手に候。時に心の静かなる決に候。世話といふ分かつ仕事、二人が力を並べて植うれば何が咲き得るかを見ることに候。市にて、乾きたる花は僅かずつ量られ、味と歴史のゆゑに貴く候。薬舗にて、それらは硝子の瓶に浸され、香を癒やしの膏と浸薬に貸し候。

恋人の中心にある選択は、一つの道と別の道のあひだのみには御座なく候。控ふることと、前へ踏み出すことのあひだにも候。家の祠にて、これらの花の環は像と窓敷に掛けられ、入り来たる者へ供へらるる美しさと献身の約に候。世界の湿りたる森にて、ある蜜蜂は花弁を求め候。その旅は、人を共に連れて来る旅に応へ候。香、模様、期待に引かれて候。天候さへ加はり候。湿気の重く垂れ、花をより広く開かせる日も御座候。突然の驟雨が花を平らに圧し、選ぶ行ひの脆く、必要なことを見る者の一人一人に思ひ出させる日も御座候。

今日、貴殿は蝋燭を灯し、傍らに花一つ、あるいは莢一つを置き、単純なる然りより始まりし関係を敬ふもよく候。乾きたる花弁を温き乳に浸し、甘さに、恋を世話する日々の仕事を思ひ出させるもよく候。窓の植箱、あるいは土の一劃が御座候ならば、種子を土に圧し、いかなる新しき縁が根を下ろし得るかを想ふもよく候。大切なる人へ文を書き、花弁を幾らか、あるいは香の跡を、静かなる供へとして挿むもよく候。

今日の色は蘭に御座候。
Lucky Color: Orchid — #DA70D6二手は庭にて会ひ、世界は一瞬、咲き候。

恋人へ戻る