Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 正義

正義の黒。中央の鏡に色が映る絵

黒

逆位 · #000000

卓の上にて、秤は不均に懸けられたるまま、右の側は一つの石の休む所にて重く候。刃は腰掛の上に残され候へども、縁は鈍く、用ひられぬ約束に候。この静かなる裁を司るべき姿は去り候。塵の中に手の跡のみが残り候。かつて秩序の呼びし所、待ちが御座候。部屋の拍子は心を欠き候。窓より、雲は群がり候。雨は硝子を塗り、外の世界を和げ、都すら、鋭く定めらるべきものの輪郭をぼかしたるが如くに候。その暗さは黒に御座候。

古き物語にて、判断の不在は夜の到来と共に着き候。市の露店、かつて橄欖の鉢と乾酪の輪にて縁取られしものは、戸を閉ざされ候。川岸に沿ひ、石炭の山は昇り候。黙し、粗く、密に、今夜は点されぬ火を待ち候。港にて揺るる船は、瀝青を浸みし布の下に貨物を隠し、固く引きて湿りの滲むを防ぎ候。されどすべては止まりし如く感じられ、風そのものが先へ押すことを渋るが如くに候。十字路にて、法の書記の帳の墨は触れられず坐り、頁は署されぬ合意の記録にて半ば満たされ候。猫は、冷き竈の傍の煤の中に丸まり、馴染みの足音の帰りを待ち候。

歴史はこの間を知り候。幾世紀の昔、僧院の書庫にて、書記の欠けたることは、法の巻物が一季の間照らされず、古き裁定のあひだに空しき一筋を残すことを意味し候き。北にて、かつて嵐は宣告の下さるべき時に転がり込み候き。空は近く引き、畑を呑み、何が誰に属すかの境を洗ひ去り候き。町の者は、厚き羊毛と硬き帆布にて織りし部屋に庇ひを求め、長く途切れぬ夜の覆ひの下に静かに語り候き。畑にて、鴉は捨てられたる犁の上に降り、来ぬ判決の証人の如くに候き。

今日の内の厨にて、胡椒の実を碾く乳鉢の音は定かに候。されど食事は、一つの椅子の空きたる卓へ出され候。歳月の用にて慣れたる鉄鍋は熱を保ち候へども、常に麺麭を分くる手は在らず候。肩掛、鉤に忘れられ、雨と煙の香を受け候。戸の傍の靴は揃ひ、紐は解かれ、他の所に滞る主を待ち候。

かかる待ちの智を引くならば、人は竈の上の鉄瓶の近きに静かに坐り、湯気の昇り焦げし麺麭の香と混ざるを待ち、雨の打ちを聞き候。古き法の書より一節を手帳へ写し、誰も見ぬ時にも慎みたる秩序を辿り候。川の小石の滑らかなる側に触るか、罌粟の一枝を頁のあひだに圧すことは、休まらぬ手を定め候。布の一片を畳み、誰かの帰りのために別に置くこと、あるいは緩き忍耐にて火を世話することは、均衡の部屋へ戻るに要する時を尊び候。

今日の色は黒に御座候。
Lucky Color: Black — #000000不在にても定かさは小さき静かなる行にて呼ばれ、雨と火に巡りある如く、正義にも巡りは候。

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