庭の温き朝の空気の中にて、花弁の輪は静かに編まれ、各の花は優しき手にて選ばれ候。そこ、静けき額の上にて、野と会ふ眼差しの上に坐し候。圧すためにも、征服するためにもあらず、安んずるために候。手は、定まりて急がず、獅子の逞しき顎の上へ落ち候。その行ひは力の展示にてはなく、沈黙の約束に御座候。我はここにをり、汝を頼み候、と静かに約束し候。獅子の息は定まり、庭の光は優しく、衝突も叫びもこの景色を擾さず候。ここでの力は叫びにはあらず候。聴く者、いつ待つべきかを知り、いつ触るべきかを知る者の、忍耐の力に御座候。
物語は北の古き川の谷を辿り候。人はかつて森の床の上を軽く歩き候き。その足音は、鞣したる皮より縫ひし靴にて緩衝され、柔らかく撓み、白樺と草の間を音なく移ることを許し候き。この靴は庇ひ、導く形にて、旅人を石と露の上へ運び、力とは静かに動く技、一歩ごとに土を感ずる技なることを教へ候き。この森にて、人は季節の変はるを見、木は嵐の中に沈黙にて立ち、冬に堪へ、やがて誇らずして春に再び芽吹き候き。力は最も静けき所に開き候。石の間の窪み、黎明の前の沈黙、手にてなされたる仕事の定まりし脈に候。
さらに南の平原にて、商人と狩人はこの柔らかき靴の値を知り候き。泥と乾きたる塵を通じて持ち堪へ、空が雨を脅し、温き雲の流れのみを供す、移る天候を通じて持ち堪へ候き。夏の雷雨の前の静けさの中にて、野牛の皮の庇ひの下に坐し、骨の針にて縫ひ目を繕ひ候き。大河を越ゆる旅、渡り場を見出すに要る忍耐、跡を追ふときの静けさの大切さの物語を語り候き。黄昏に伝はりし教訓は荒き力の物にはあらず、静けき堪への物に御座候き。己の限界を知り、苦難を穏やかなる顔にて迎ふることに候き。
廚にて、同じ優しき力は顕れ候。麺麭は、厳しき労働と遅き夕の双方を知りし手にて形作られ候。玉蜀黍は碾かれ、菓子は焼かれ、皿は洗はれ、日ごとに、大いなる仕草にてはなく、世話の終はらぬ調子の中に力を示す者によりてなされ候。嵐の打つとき、雷が戸を揺るときにも、この手は香草を吊り乾かし、古き衣の裂けを繕ひ、憂ふる心を落ちつかす定まりし調べを口ずさみ候。
今日、人は柔らかき底の靴を履き、外を歩き、一歩ごとに土の上へ軽く落ちしめ候。野の花を冠へ編み、または好む道具を忍耐と心したる手にて繕ふひとときに費し候。午後の伸ぶるにつれ、日の射す室にて立ち止まり、記憶を心の中にて転がし、または悩む者へ穏やかなる言を供すことは良しきことに御座候。獅子の口先へ優しく載る手のごとく、定まりて安んずる言に候。その革の色は薄砂に御座候。
今日の色は薄砂に御座候。
Lucky Color: Moccasin — #FFE4B5静けき行ひに語らせ、優しきを貴殿の支えとなし候。