Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 節制

節制の碧。中央の鏡に色が映る絵

碧

正位 · #40E0D0

一人が、浅き水溜りの縁に足を据ゑ、二つの器のあひだを、優しき忍耐にて水の流るるままに立ち候。動きの一つ一つは意図あり、急ぎも躊躇も御座なく候。流れそのものが、世界の声なき助言に耳を澄まし、一つの杯よりもう一つの杯へ、また戻りて流るるが如くに御座候。後ろにて、土地は優しく昇り、狭き道は柔らかき土と散りたる石との上を、上へ巻いて行き候。この牌は、均衡の瞑想に御座候。配合の技、極端と極端とのあひだを、一滴もこぼさず楽に動くことに御座候。

昔、川と山とのあひだの、乾きて広き土地を越ゆる旅人は、塵の下に埋もれたる石を見出だし候き。古き湖と、火山の熱とより生まれたる石に御座候。王と巫と、ともに貴び、護符に形づくられ候き。光と水との滑らかなる小石、筋あり、触れば涼しく候。守りとしての印、地と空との贈り物として携へられ、静まる水の静けさと、遅き配合の知恵とを保つと言はれ候き。ある商人は、石が落ち着かざる心に平和を運ぶ町の話を聞き、隊商に従ひて西へ、古き絹の道を辿り候き。波斯の市にて、手はこれを絹と香料とに交換し候き。取引の一つ一つは、欲と運命との、注意深き配合に御座候き。

さらに南にて、馬雅は雨と玉蜀黍との神の神殿を築き候き。祭司はこれらの石を、聖なる飾りに通し候き。宝石を粉に砕き、塵を蜂蜜と混ぜ、儀式の面に塗り候き。その手にて、水と土と人の意図とが一処に集ひ候き。儀式の一つ一つは、世界そのものが反対のものの配合にて作らるることを、思ひ出させ候き。乾きと湿り、日と影、古きと新しきとに御座候。今もなほ、それらの古き石の破片は、博物館の匣に休み、川と空との記憶にて輝き候。

地上に、突然の雨の後、空が境を溶かすやうに見ゆるところ有り候。新墨西哥の高き砂漠にて、空気は澄みて薄くなり、雲は分かれて、地と天との混ざる円蓋を現し候。時に、三日の定まりたる春の霧雨の後、頭上の澄みたる広さは、微かなる拱にて印され候。水と光とは、性質にて反対なるも、争ひなく結ばれ得る印に御座候。かかる日、人は外へ出て顔を空気へ上げ、世界が清められ新しく感ずるまま、深き息を引き候。

家にて、それらの古き石の記憶は、別の形にて残り候。同じ鉱物より彫りたる鉢が、木の卓に休み、塩または一握りの乾きたる果実を保ち候。ある人は、指輪に嵌めたるか、襟巻に縫ひたるかする、一つの玉を保ち、優しく動き、生の多き材料の配合を急がざるやう、自らに思ひ出させ候。同じ岩より作られたる擂鉢と擂粉木とが、日の当たる台所に坐り、ある人が遅き煮込のための香草を碾き候。ここに、均衡は大仰なる身振りには御座なく、日々の習ひに御座候。物の味と、時の手触りとを形づくる、静かなる配合に御座候。

今日、人は家を出づる前に石を懐へ滑り込ませ、出会ひの一つ一つへ平和を運ぶ、声なき約束を捧げ候。正午に立ち止まり、一つの硝子よりもう一つの硝子へ水を注意深く注ぎ、滴の一つ一つの重さと音とに気づき候。雨の後に空の変はるならば、しばし外の空気の中に居り、定まりたる配合の力を思ひ出し候。夕べの来たるとき、蝋燭を灯し、浅き皿にその映りを見て、炎と水との舞ひに静けさを招き候。

今日の色は碧に御座候。
Lucky Color: Turquoise — #40E0D0静かなる配合は貴殿の歩みを導き、前の道は優しくして長く候。

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