Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 旅人

旅人の臙脂。中央の鏡に色が映る絵

臙脂

逆位 · #800000

人の形は崖の縁に立ち、包みを手に、眼は空にあり、下の石の地に気づかず候。踵の犬は警告に鳴き候。されど旅人の一歩は気の中に懸かり、見えざる何かを信じ候。牌は逆位にて、落つる前の瞬間に息を潜め候。軽さの踏み違ひとなり、旅の約束の危きへ傾くときに候。ここにて気は薄く、道を誤る旅人は慎みを追ひ越し、心を地へ繋ぐ確かめを飛ばし候。

下には、見る前に跳ぶときに起こることの徴の満ちたる世の御座候。加勒比の、かつて逃れたる者の隠れたる高き丘にて、集落は逃亡より育ち候き。これらは船と鎖とより走り、路の明らかならざる前に暗き森の抱擁を冒したる者の建てたるところに候。村は図にせられたる土地の彼方にて栄え、その物語は土へ織り込まれ候き。そこで見いだされたる自由は、辛くして得、定かならず、他の誰も図にすることを敢へてせざる谷の砦に候き。その厨は重く使い込まれたる鍋に縁取られ、何時間も煮えたる豆の香、丁香と煙とにて厚く、計画せられたるものに非ず、集められたるものより生まれたる食事にて煮え候き。

ほかのところ、静かな書斎にて、革装の手帳は書き物の机の上に開かれず横たはり、決して仕事に落ち着かざりし手によりて、表紙は滑らかに摩耗し候。内の頁は空白にて、定まりたる筆を待ち候。されど誘ひは、文の途中より始めること、前に何のありしかを知らずして書くことに候。炉辺にて、干し場は羊毛の襟巻を保ち、定かならざる路の長き旅のために編みたる類に候。輪と結びとは、糸の滑り、あるいは折り返したるところを印し、欠点にもかかはらず首を温むる、誤りの地図に候。石垣の後ろに畳まれたる庭にて、石榴は熱の中に裂け、種子は敷石を転がり、整ひたる列あるいは丁寧なる計画へは決して向かはず候。

風の突然変はり、雨の鋭き香を運ぶ日の御座候。空は低くなり、過ぎるか、頭上にて破るかを約束する嵐を示し候。賢き者は窓を閉ざし、道具を内へ入れ候。されど逆位の旅人は、腕を広げてその空模様の中へ歩み出で、谷を転がる雷を顧みず候。海にて、古き船の船体は、深く厳かな臙脂に塗られ、繋留に対して揺れ、潮の変はるを待ち候。その材には歴史のあり、塩と日とにて印され、裂けんと脅しところは継がれ、瀝青を塗られ候。時に乗客は、波止場の近き前に綱へ跳ね、足は安全なる地に非ず、滑る板と棘とを見いだし候。

今日、古き鍋を見いだし、手にあるものにて一鍋の料理をなし、味の己の仕方にて混ざるに任せ候へ。襟巻を、摩れたるものあるいは新しきものを取り上げ、計画なき散歩にて身を温むると信じて、外へ踏み出す前に近く巻き候へ。手紙あるいは手帳の記を、始まりに非ず、手の休らふところより始め、計画無く物語の展開するに任せ候へ。空模様の変はらば、雨の最初の香を捉ふるほどだけ窓を開き、しかして閉じ、蝋燭に火をともし、結果の知れざるときに危きを取りたる者を思ひ候へ。

今日の色は臙脂に御座候。
Lucky Color: Maroon — #800000跳べ候。されど着地を探り候。

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