Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 吊られ人

吊られ人の青海。中央の鏡に色が映る絵

青海

正位 · #2E8B57

男は生きたる樹の枝より、片足にて吊られ候。もう一方の足は膝の後ろへ掛け候。腕は穏やかに休み、目は開き、優しき光の輪が頭の周りに浮かび候。樹は枯れ候には御座なく、樹皮は川辺の湿りたる粗さを持ち、幹は苔にまだらにて、枝は樹液と黙せる忍耐とに生き候。世は転じ候へども、男は頭を下へ向けたるまま残り、抗はず、藻掻かず、新しき見方を招き候。

新しき感じを運ぶ静けさを知らむには、静けき朝に海が陸と会ふ地を思ひ候へ。風は、塩に洗はれし岩にすがりたる野生の香草の、硬く蝋の如き葉のあひだを抜け候。古き港にて、船人はこの香草の枝を集め、嵐を遠ざくると信じ候き。地中海の遠き島々にては、村人は塩の風に耐ふる蔬菜の畑を耕し候。茎は硬く筋立ち、香りは強く清く候。朝の光が広き開きし窓戸を漏る厨にて、これらの束は梁より下がり、冬の汁と煮込とのために乾き候。その粘りと味は、海の湿りたる土より出で候。

西の岸に伝ふ物語があり候。旅人は、急なる霧に迷ふとき、ある天候の光を求め候き。海の息を語る、帳の如く震ふる空気に御座候。漁る人は舟の中にて休らひ、鴎の昆布の浮かぶ床へ降りるを見候き。植物の滑る帯は、潮とともに昇り降り候。嵐が彼らを岸へ追ふとき、糸杉と檉柳の伸びたる腕の下を歩き、靴は海と森の会ふところを印す海綿の如き敷へ沈み候き。一歩ごとに、委ねの教へがあり、潮の運ぶものを受け入れる教へがあり候き。

北の市にて、空気は鋭く、地平は常に微かに塩の香がし候。魚を商ふ者は、岸の植物の汁にて染めたる編み網に漁を包み候。家の女は同じ葉に浸せる水にて床を濯ぎ、静けさと岸の記憶とを家へ運ぶと信じ候。職人は、川が沼へ消ゆるところに生ふる硬き葦より綱を結び、手は幾時間も撚り編むうちに染まり候。子は茎を集め、簡き敷を編み、戸口に置いて歓迎と守護のしるしとなし候。

吊られ人が変はりへ委ねる教へを身にせむには、最も近き水の傍らに休らひ、岸の植物を抜くる風の沈黙を聞き候へ。野生の香草の一枝を摘み、貴殿の窓縁へ置き、世の転ずるを力まずに任す静かなる思ひ出となし候へ。乾きたる昆布、あるいはそれに近きものを厨に持ち候ならば、少しく汁へ揉み込み、海の供へを味はひ候へ。沼の葦にて作りし箒にて貴殿の床を掃き、新しき思ひの根づく場所を空け候へ。この岸の色は青海に御座候。

今日の色は青海に御座候。
Lucky Color: SeaGreen — #2E8B57潮が岸を作り直すが如く、休らひは貴殿の見方を変へ候。

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