吊られ人
XII
正位
足にて吊られたる人が御座候。苦しげに候へども、顔は静かなるに御座候。吊られ人は、止まりて見ゆる時間が、見方を反転させる時間の牌に御座候。
足は結ばれ、手は開き候。前へ進む道の閉じたるとき、世界の上下を入れ替へれば、別の道が枝の如く見え候。手放したる後に残る視界が、この絵の犠牲に御座候。
今日のこの牌は、結論を急がず、吊られたるままもうしばらく景色を見ることを象り候。
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森緑 静けさは新しき見方をもたらし、沈黙はすべてを変へ候。
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黄緑 休らひは終わりには御座なく転回にて、静けさに育つものはいつか貴殿を覆ひ候。
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青海 潮が岸を作り直すが如く、休らひは貴殿の見方を変へ候。
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青碧 水と空の会ふところは最も静かにて、休らひの明かすものを求め候。
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銀 それぞれの休らひは静かなる意味を抱き、正しき見方は沈黙の中に待ち候。
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金 忍耐ある者は他の見落すものを明かし、静かなる光輪は静けさの中に待ち候。
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空青 澄みは貴殿の伴となり、静けさはすべてを変へ候。
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浅青 静けさは理解への開きし窓にて、貴殿の待つうちに忍耐は道を明かし候。
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水色 しばしの待ちは雨を呼び、静けさの中より新しき見方は現れ候。
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中海緑 静かなるものへ向かへば、それは新しき世界を明かし候。
逆位
吊られたる姿勢が、見方の転換には御座なく、停滞の習慣と成り候。手放すふりをして、実は結ばれたる足を自ら締め候。あるいは、待つべき時間を、動かざることを美徳にて覆ひ候。
吊られ人が逆位となれば、犠牲は自らを特別の場所に置くための物語と成り候。
今日のこの牌は、景色が十分に反転したるなら、結び目を一つ解いて足を地面へ戻すことを象り候。
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濃緑 答へは雨の後の土の香りに静かに来り、待ちは貴殿の庇ひに御座候。
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濃黄緑 休らひを実りあるものとし、動きを再び始め候。
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灰黄緑 忍耐は耐へたるものより学び得て、心ならずもする休らひにも知恵は御座候。
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茶 土と木の香りが貴殿の忍耐を導き、旅の緩むとき残るものを見候。
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鞍茶 一日の仕事をしばし休ませ候へば、静けさそのものが教へに御座候。
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赭 地の忍耐が貴殿を導き、世が望まずとも休らひ候。
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鼠 休らひは空には御座なく忍耐の形にて、世の待つところに立ちて聞き候。
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薄墨 厚き空の下にて休らひ、一日の沈黙を導きとし、休らふ古き靴の如く待ちの価を知り候。
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黒 静けさは深き形を持ち、今夜の庇ひと忍耐は貴殿の味方に御座候。
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臙脂 天候は破れ候へども道は続き、動きと記憶のあひだを保ち候。