丈夫なる柳の枝より、人は片足にて吊られ候。苦しみには御座なく、根を伝ひて地へ入る静けさとともに候。世は向きを転じ、それとともに見慣れたるものは異様と成り候。枝は地を求め、幹は空へ伸び候。空気は沈黙に満ち、朝の光の中の川の神秘にて、静けさを通して光輪は成り候。静かなる理解の輪に御座候。新しき見方への道は、飛びには御座なく、動きを吊すことにて、風の過ぎ、葉の語るを許すことに候。
伝へにては、東の古き湿地にて、野生の鴨は葦より昇り、頭には冠の如き羽があり、目は鋭く候。これらの鳥は、絡みし菅のあひだに水の溜まるところ、蜻蛉の浮かび、蛙が忍耐の歌を唱ふところを住み家となし候。浮かぶ睡蓮と、絡みし水草のあひだにて、鴨は休らひ、頭を傾け、水面の下へ潜り候。しばし、上なるものは下と成り、世は震へたる波紋の中に新たに成され候。猟人と絵師とがいづれも長く賞でしこの小鴨は、頭と翼に光る羽より、青碧の名を残し候き。自然の微かなる差に気づく者への道標に御座候。
運河の町の古き市にて、漁る人は水際にて網を繕ひ、籠は雨の記憶を吸ひたる葦にて編まれ候。帽子に挟み、あるいは子の玩具へ縫ひ込みたる羽の閃きは、沼と炉との繋がりを印し候。北の高み、風に曲げられたる小家にて、主婦は鳥の羽衣に似せて布を裁ち、舟にて出づる者、長き旅より帰る者のために肩掛と紐を作り候き。布の商人は、ある一反の絹を貴び候き。稀にて水を弾き、旅の外套の裏に求められ、雨を受け候へども肌へは纏ひつかず候き。嵐が荒野を過ぐるとき、空は暗く、低き野は氾濫し、かかる外套に包まれし者は、嵐の過ぎるを挑むやうに静かに待ち候き。
冬の池の沈黙にて、氷は葦の周りに成り、鴨は凍らざる狭き場所に集まり候。その上にて、低き雲は重く候へども、空気は雪解の約束に生き候。神話は語り候。かかる鳥が頭上を飛び、世は向きを転じたるまま、春の帰りを待ち候き、と。季節の遅き転回にて、理解は来候。休らひは止まることには御座なく候。別の角度のための場所を作ることにて、底の明らかになるまで水の落ち着くを任すことに候。
今日、貴殿は水鳥の泳ぐ、あるいは頭上を飛ぶ模様を見、風と水との両方を切るやうを気づき候へ。流れの傍らにて葦を集め、沼の地の人の昔なせしやうに、小さき敷または籠へ編み候へ。裂けたる肩掛を繕ひ、かの古き絹の反を思ひ出だすもよし、あるいは雨の間、窓辺に坐り、静けさが新しき見方を開くを任せ候へ。
今日の色は青碧に御座候。
Lucky Color: Teal — #008080水と空の会ふところは最も静かにて、休らひの明かすものを求め候。