社の静けさの内にて、尼院長は黙せる席を守り、長き巻物は折りたる腕の後ろに差し控えられ候。知恵を明かすために割るべき帳は、今は重く動かずかかり候。足元の弦月は影となり、後ろの水は定まりて黙し、映りを供せず候。隠れしものは、知らぬのみには御座なく、進んで錠せられ候。直覚への通路は、厚き沈黙にて塞がれ候。この風なき静けさにて、神秘は近くへは漂はず候。暗き中に頑なに留まり、名を付けられることを拒み候。
かかる状態にて、世はかつて、遠き岸の稀にて貴き収穫へ向き候き。推羅の海岸に沿ひ、漁夫は貝を集め、慣れたる手にて各の生き物をこじ開け、隠れし染の源を見つけ候き。これは、持つ者の少き深さにて布を染むる顔料を出し候き。この精にて扱はれたる衣は、権威と秘密との印と成り、知を群衆より別に置かれたる人の着けるものに候き。これらの衣は、支配する者と従ふ者、祭司と俗人とを分かち候き。装ひより多くに候き。知り得ることと知り得ぬこととの境を印す、障壁に候き。
別のところ、同じ言の葉は、地中海の林に房を成す実の上に休むやうに成り候き。幾百の輝く種を隠す球にて重き木は、耐心と報ひとの象徴と成り候き。一つを割り開くには労を要し、報ひは直ちにには御座なく候き。各の一口は、実の全体の含むものの、ほのかなる示しのみを供し候き。種は、守られたる思ひの如く、散らされども容易には集められず、各の一つは、錠を開かるるを待つ小さき約に候き。寒き朝、厨人はこれらの実より作る砂糖煮の瓶へ手を伸ばし、麺麭の上へ丁寧に伸ばし、静けき慰めの行ひとも候。味は一度に鋭く、かつ甘く、収穫の遅き秘密の労を思ひ出させ候。
夕べ、天気の移り、外に定まりたる雨の降るとき、窓に厚く引かれたる帳は、室を嵐より近く、別に保ち候。かつて稀なる染の布にて覆はれたる書は、棚の上に開かれぬまま坐し、背は、なほ向かはぬ知の黙せる証人を帯び候。過去の僧院にて、これらの書は帳の下に休み、光より守られ、読むことを許されたる手と目とを待ち候き。今も、かかる布の紐は頁を印し、その用は明かすことには御座なく、理解の時の来るまで場所を保つことに候。
今日、貴殿、乾きたる花弁より茶を立て、湯気の立つあひだ、解けぬものと共に坐すことも候。家に伝はりし肩掛に身を包み、その繊維は世話にて織られ、温みの向こうの重さを運ぶことも候。実を割り開き、種を鉢へこぼし、各の一つを注意にて味はひ、残りを別の日に残すことも候。雨の続くならば、帳を引き、蝋燭を灯し、自らと騒音とのあひだに壁を作り、なほ答へられぬもののための場所を許すことも候。
今日の色は紫に御座候。
Lucky Color: Purple — #800080閉ぢたるものは、なほ開く時を持ち候。