Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 悪魔

悪魔の黒茶。中央の鏡に色が映る絵

黒茶

正位 · #D2691E

玉座は暗き室に昇り、雨に浸みたる叢林の心の木の台座の上に置かれ候。脚は巻き蔓の似姿に彫られ、その握りより鎖が掛り、縛るためには御座なく脅すために鍛へられ候。中央にて、松明は燃え上がり、その光を古き梁に投げ候。熱が御座候。されど甘く苦きものの香も候。石へ滲み、地より揺らぎ昇る不安を和ぐるものに御座候。ここに欲望は怪物には御座なく、見られ名づけられたる熾火、儀式と祝ひとの縁に附く力に御座候。

蔭の木の集まる古き谷にて、種は拳の如く節くれだつ莢の中に育み候。収穫する人は、技あり疲れを知らず、果実を摘み切り開き、内の宝を現し候。豆は籠に庇はれ、日の中に発酵するまま残され、のち嵐のたびに蓋の音を立てて開く竈にて焙られ候。空気は雨と虫の唸りとにて厚く候。されど小屋の内にて、働く人は種を粗き糊に碾き候き。数世紀前、古き町の支配する者は、生じたる飲み物を、香を付け香料を加え、蛇と豹とにて飾られたる器より啜り候き。これは奢侈には御座なく、道具に御座候き。戦の前の勇気、結びの前の情のための霊薬、憧れと野心とを熾す手段に御座候き。鎖は欲の熱の中に鍛へらるることも候。されどその性質の理解さるる瞬間、滑り外し候。

この錬金に果実を与ふる草は、寒さまたは旱には栄えず、赤道の容赦なく湯気立つ盛りに栄え候。遠き岸へ旅したる積荷は、味以上のものを携へ候き。儀式と交易、支配する者と叛く者との物語を運び候き。帝国の蝋燭に灯されたる客間にて、飲み物は変へられ、甘くされ、割って分ち得る形に圧され候き。雨の敷石の通りを縁取る店は、その売にて富み候き。それは強き者の家にも謙遜なる者の家にも入り候き。今もなほ、一片を折り融けさせることは、野生の森と火との交はりを味はふことに御座候。誘ふものも、開きたる目にて取れば養ひ得ると、思ひ出させるものに御座候。

古き市の商人は、自らの野心を量ると同じ注意にて、板と豆とを量り候き。食料庫の奥に隠しを保つことも候き。蓄へるためには御座なく、味はふためにて、欲望を捕はれ人には御座なく伴にさせ候。晩秋の風が土と香料との香を窓より運ぶとき、家族は台所に集ひ、竈の上に一塊を融かし、麺麭を浸すための濃き甘き液に泡立てるか、小さき磁器の杯へ注ぐかに御座候。儀式は古く単純に御座候。見ること、味はふこと、欲さるるものが完全に見らるることを許すことに御座候。

松明の低く燃ゆるならば、それを熾し候。鎖の滑るならば、貴殿自らの手がそれを持ち候かを気づき候。今夜、渇くものの小さき一片を折り、遅く味はひ候。嵐のあひだ、湯気立つ杯を貴殿の窓の傍に置き、雷の屋根を過ぐるに耳を澄まし候。

今日の色は黒茶に御座候。
Lucky Color: Chocolate — #D2691E憧れの前にて森の心の味を運び、欲望を見れば鎖は緩み候。

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