Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 皇帝

皇帝の鼠。中央の鏡に色が映る絵

鼠

正位 · #808080

切り出されし岩より成る玉座は、高き間に立ち、縁は鑿にて削られ、面は雨の緩き記憶にて窪み候。この座の後ろにて、地は巌と稜とにて立ち上り、風と時とは山の骨を塵に碾き候。ここにて世界は混沌には御座なく候。線あり、境あり、地の分割の確かさあり候。皇帝の場所は、固く坐し、野の荒さの尽きて手の仕事の始まる縁を保つことに候。

古き物語にて、都の壁は牛の背に運ばれし石より築かれ、塊の一つ一つは打たば火花を散らす道具によりて正方形にせられ、形づくられ候き。石工は固く織りし亜麻の前掛を着し、労の塵にて汚れ、鎚は朝の空気に鳴り候き。道は古き川床に沿ひて敷かれ、一歩一歩は測量の竿によりて導かれ、遠き丘より集めし小石にて印され候き。皇帝の秩序は叫びには御座なく候き。掟の絶えぬ指示にて、石は一つ一つ嵌まり、門は一つ一つ閉じ、法は石工の線と同じく均しく敷かれ候き。

北にて、漁る者は網を投ずる前に空へ向き、日の眩しさには御座なく、上なる帳、雨の約束にて密なるものを読み候き。来る嵐の香、雲の低く圧すときに広がる静けさ、風の募るときの石板の瓦の柔らかき音を知り候き。羊飼ひもまた、牧場を横切る霧の立ち上り、群れを包みて世界の鋭さを和らぐる様を見候き。空気の密にて涼しくなる日には、都の番は胸壁を羊毛の外套に包まれて巡り、布は厚く目立たず、眼差を引かずに温め候き。

厨にて、擂鉢と擂粉木の石は用の記憶を保ち候き。幾代にわたりて碾かれし種と塩とによりて磨かれし滑らかさに候き。窯は壁と同じ材料より築かれ、腹は灰にて張られ、口は早朝に膨らむ麺麭によりて縁取られ候き。ここにて秩序は温みと、日ごとの食の備へとに候き。白鑞より削りし匙は、湯気立つ大麦の羹の鉢の傍らに待ち候き。家を守る女は家族の衣を川の石の上にて洗ひ、雨の香の重き空気にて乾かし、仕事の終はらざるも常に再び始めらるることを知り候き。

皇帝の力は剣あるいは布告には御座なく、儀式と手順、手より手へ渡さるる知の中に候。山の峠は一つの地の縁と、今一つの地の始まりとを印し候。境は帳面の中、最後の畑を印すために築きし石垣の中、井戸の縁を囲む玉石の輪の中に図せられ候。空すらこの秩序に屈し、曇りし気分は仕事と見守りのより静なる光を供し候。

今日、外を歩みて、貴殿の足の下の地の確かさを感じ、貴殿の庭あるいは道を印す線を辿り候へ。滑らかなる小石を見出し、貴殿の懐に定むる重みとして保ち候へ。麺麭を捏ね、あるいは石の鉢にて香料を碾き、耐へる仕事に加はり候へ。羊毛の肩掛の飾らぬ慰めに身を包み、雨の前の世界の静けさに聴き候へ。

今日の色は鼠に御座候。
Lucky Color: Gray — #808080貴殿の道の下なる石、空の秩序を保つ雲に御座候。

皇帝へ戻る