Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 女帝

女帝の乳橙。中央の鏡に色が映る絵

乳橙

正位 · #FFEFD5

小麦は静止の中に擦れ、女帝の席を囲み、女帝は、すでに熟れ手に触るる富にて溢るる庭に囲まれ候。薔薇は足元に咲き、花弁は生きたるものの綴織に向かひて柔らかく候。果実は女帝の近くの枝に群がり、梨と万寿果とは甘みにて重く、やはらかき滝は滑らかなる石の上を滑り、静けき音楽を空気に通し候。女帝は、欠け得るものへ手を伸ばさず候。豊かさはここにて、地の供への各の一刻と各の細部とに織り込まれたることを知る中に休み候。

万寿果の旅を考へ候へ。かつて遠き島の川岸に沿ひて野生に育ち、交易の船の上へ道を見出し、香料と砂糖との傍らに詰められ候き。商人はこれを港のあひだに運び、その味は、新しき土地にて初めて切り開かるるまで秘密に候き。暖き厨にて、代々はこの果実を変へることを学び、果肉を掬ひて乳脂の一撥ねと泡立て、あるいは菓子と冷したる甘味とへ折り込み候き。日の当たる卓の上に据ゑられたるこの鉢は、静けき奢侈を抱き候。単純さと世話との中に見出せる種類に候。食のみには御座なく、夏の午後と、近くに集ひたる者の楽なる笑ひとの記憶に候。

女帝の庭は一つの場所には御座なく、慰めの地理に候。小麦の藁にて縁取られたる道は足音をやはらげ、陰と光とが風化したる石に向かひて遊ぶ隅へ導き候。ときに収穫の後、布は真昼の食事のために草の上に敷かれ、籠は集められたるものにて溢れ候。空気はやはらかく、植ゑることの急ぎの後、黄昏の静けさの前に定まる穏やかさに触れられ候。天気すら、楽にするために自らを形づくり候。柔らかき風は開けたる窓を漂ひ、木の板の上に冷ゆる麺麭の香り、あるいは谷の遥か上のどこかなる雨の約を、招き入れ候。

家の内にて、豊かさは実用の形を取り候。愛しき鉢は混ぜるために出され、縁は用の年々にて滑らかに擦られるも候。手にて洗はれ日に乾かされたる麻布は、整ひたる積に折られ、次の食事のために備はり候。商人はかつてこれらの織物を大陸の向こうへ運び、模様は一つの文化より借りられ、別の文化へ贈られ、布そのものがもてなしの象徴と成るまで候き。女帝の世は、各の習慣、果実を切ること、食事を整へること、移る光を見るためにもう一刻長く坐ることが、すでに供へられたるものへの感謝を合図する世に候。

今日、貴殿、果実を蜂蜜と泡立て、涼しく供し、誰かを真昼の甘みに分かつやう招くも候。麻布を、平凡なる卓の上にすら広げ、一刻を特別と印すも候。道を、実あるいは思ひの中にて、自らの庭を通じて散歩し、あるいはただ管あるいは樋を走る水に耳を傾け、これらの賜物を最初に運びし古き川を覚えて候へ。各の行ひは、いかに小さくとも、豊かさへの招きにて、すでにここなる満ちを認める道に候。

今日の色は乳橙に御座候。
Lucky Color: PapayaWhip — #FFEFD5やはらかさは、豊かさの席と成り候。

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