この牌にて、旅人は世の縁にて舞ひ、一方の足を上げ、袋を肩に掛け、眼は空へ上げて、石の散る路へは向けず候。地が迎えに昇るが如く踏み候。されどこの逆位にては、気はより重く、縁はより定かならず候。これは跳躍の前の瞬間にて、雲の集まり、光の地の上に平らになり、地平を限り無く、かつ定かならざるものへぼかすときに候。
土地自らがこの疑ひを帯ぶるところの御座候。石工の働く石切場にて、気は涼しく塵を交へ、壁は聳え、静かにして読み得ず候。鎚の一振りを誤れば、石の裂けは回転し、あるいは岩の一枚を落とし候。ここでは一歩ごとに重みを量られ候。されど近道を切り、辛抱の要るときに運を信ずる誘ひは残り候。時に、最も若き弟子は研ぎ石を取りに遣はされ、その足音は冷気に響き、足下の地の確かなるやを疑ひ候。
坑より遠く、古き町の屋根は己の物語を語り候。嵐の午後、気の近く圧し、風の煙突の壺の間を打つとき、石板は緩み、落ちんと脅し候。屋根葺きは跪きて釣り合ひを取り、冷き瓦の上に手を定め、一つ一つに裂けを試し候。一歩の誤りは破片を滑り落とし、下の敷石に音を立てさせ候。眼を上に保ち、盲ひて信ずる者は、石板にほとんど許されず候。
古の神話に、山の峠の御座候。旅人は雲の重き空の下を渡り候。路は崩れ石と平らなる石との上を曲がり、曲がりごとに定かならず候。羊飼ひは突然の滑りを見ることを知り候。雨の染み入るとき、足の確かな山羊さへ滑ること候。これらの高きところにて、突然の霧に迷ひたるさすらい人が、石より石へ踏み、それぞれが持つことを望み候き、といふ話の語られ候。
炉と家とにては、麺麭を切る板、あるいは火の熱の卓を焦がすを防ぐ台は、同じ石より切られ候。世代はこの道具を用ひ、その重みと涼しき触れとを信じ候き。されど時に不注意なる手は小刀を滑らせ、あるいは熱き薬缶を置かざるべきところへ置き候。教訓はすべてを貫き候。確かめなき跳躍と、地を忘るる軽さとに候。
今日、逆位の旅人は、これらのものにて地に足をつくことを求め候。曇天の下を歩み、屋根に当たる風の語る物語を聴き候へ。涼しき石に手を置き候へ。段、壁、厨の板に候。その定まりに気づき候へ。家にて緩み、あるいは欠けたるものを繕ふ時を取り候へ。緩みたる瓦、裂けたる皿、あるいは忘れたる道具に候。出で立つとき、戸にて一と息つき、次の一歩の着くるところを見候へ。
今日の色は石鼠に御座候。
Lucky Color: SlateGray — #708090今日の教訓は知るところの縁に乗り、跳躍の前に辛抱を求め候。