Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 方士

方士の鼠。中央の鏡に色が映る絵

鼠

逆位 · #808080

方士の卓は、四つの古典の道具を以て設けられ候。刃、杯、銭、杖に候。正位の世にては、各の道具はその目的へ曲がり候。断ち抜くこと、保つこと、地に着くこと、通すことに候。されど今、卓は落ち着かず、古き用は入れ替はり、各のものは割り当てられたる意味を拒み候。刃は分けるものに非ず、鏡となり候。煙の器物にて、かつて霧に罩められたる石より引かれたる刃の如く、今は曇り、騙りの手に休らひ候。高杯は、かつて酒あるいは水のためのものにて、上を向けて空にてあり、荒地の廃墟の僧院の、時と雨とにて心を空洞にされたる黙せる石の井戸に響き候。

空は頭上に掛かり、冬の雲の裏の如く近く、特徴無く候。川岸に沿ひて、幾世紀の足音にて摩れたる石は、特にどこでもなきところへの路を縁取り候。漁師の網は、小石の岸の高く引き上げられたる船の上に掛けられ、その結びは秘事の如く堅く、その日の獲物は見より隠され候。古き町の静かな路地にて、石工の手仕事は耐へ候。楣、段、漆喰は堅く保ち候。これらの構造は輝かず、呼ばず候。それらは吸収し、不確かさを耐へと混ぜ、時に最も良き術は執念と、来たるものを耐へる辛抱となることを示し候。

方士の衣は影に絡み、霧の中の高地を群れに従ひたる羊飼ひをかつて衣せたる羊毛に似候。かかる布は、戻りのために紡がれ、北海より這ひ入る定かならざる冷気に対して身を包み候。小屋にて、炉の灰は今は費されたる温かさを語り候。されど炎の記憶は石の模様の中に残り候。世の麺麭さへ、仕事の卓に散らされたる粉を以て形づくられ、手は形なきものより定まりたるものを捏ね候。錬金より卑しく、日々の必要により近き、変はりにしてまた手品に候。

ある朝、市はかく厚き霧にて覚め、大聖堂も、起重機も、川の橋も、輪郭へ溶け候。世は触れ得るものへ縮まり候。鉄の茶瓶の涼しき柄、戸の傍らの桶に溜まる雨水、掌の中の石板は粗くも堅く候。ここで型は手品となり候。見に非ず記憶による航行、馴染みの庭の壁に沿ひて手を動かし、靴の下の地を信ずることに候。歴史は帳面に貯へられ、その頁は脆く静かにて、墨は褪せ、線は消えたる取引、負債、清算を語り候。時は切り出されたる岩にて建てられたる駅を通じて動き候。各の待合は旅人の静けさにて満たされ、その息は、距離と霞との中へ去りゆく機関の煙と混じり候。

今日、誰かは冷き石の台にて生地を捏ね、手の下の地の定まりを感じることも候。早朝に防波の摩れたる路を歩み、一歩ごとに世の自ら澄むを聴くことも候。風雨にさらされたる建物の段に坐し、石の中の物語を聴き候へ。古き鉄の鍵を磨き、その重みに、開かれたる錠と閉ぢられたる錠との両方を思ひ出させ候へ。道具は手にあり、その用は変はり候。耐ふるものは、路の曇るときにも前へ動く業に候。

今日の色は鼠に御座候。
Lucky Color: Gray — #808080世が澄みを静けさと交換するとき、足下の石を信じ候へば、耐ふるものにて足り候。

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