方士
I
正位
机の上に、杖と杯と剣と貨幣が御座候。片手は天、片手は地に候。方士は、すでに手元にあるものを一つの意図へ通し候。
世界を新しく作るには御座なく候。上より降りたるものを、下にある道具の形にし候。言葉、手、道具、材料。四つ揃ひたる机は、今日そのものに御座候。
今日のこの牌は、届きたるものを机の上にて組むことを象り候。
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赤 意の道具は手の近くにあり、業は夢みしものとなしたるものとの間の路に候。
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白 世の未だ書かれざるが如く、始め候。
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金 変はりは業をなさんとする意より始まり、小さき身振りは術の幾世紀を保ち候。
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緑 意を根より花へ動かし候へば、四つの道具は備はり、貴殿も備はり候。
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森緑 意を最も古き松の如く定まりて育て候へば、小さき始まりは深く根づき候。
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草緑 小さき業は世を合はせ、世話を以て働けば、地は応へ候。
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黄 庭の約束は目的を以て封ぜられ、手の中の各の道具は己の始まりとなり候。
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橙 上は下に合ひ、日は可能性を以て開き候。
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銀 上と下とを合はさんとする意を以て、変はりは貴殿の卓にて備はり候。
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象牙 意を形となせ候。
逆位
机の上の道具が、見せるためのみに並び候。手は動き候へども、天と地は繋がり候はず。言葉が先に走り、材料は追ひ付き候はず。あるいは材料は揃ひ候へども、手を付け候はず。
方士が逆位となれば、技巧は意図より離れ候。上手に見ゆること、始まりたるが如く見ゆることが、仕事の代はりと成り候。
今日のこの牌は、道具を増やすより、今ある一つの道具を一つの目的へ戻すことを象り候。
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濃赤 世の逆位はその静かな賜を示し、かつて隠れたるものは今、明らかなるところにて変はりて待ち候。
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鼠 世が澄みを静けさと交換するとき、足下の石を信じ候へば、耐ふるものにて足り候。
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薄墨 霧の中に実体を見いだし、尋常なるものの中に工夫を見いだし候。
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黒 嵐を過ぎさせ、残る燠を世話せば、光は耐ふるものによりて形づくられて戻り候。
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濃石鼠 これは静かな必要の変はりのための色にて、残るものの値を知り候。
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茶 術は間に合はせ、かつ新しく作ることにあり、手の変ふるものは実となり候。
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鞍茶 定まりて動き候へば、仕事は己の術を形づくり候。
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臙脂 変はるものは逃亡の記憶を保ちて新しきものとして戻り、適応の徴を静かに携へて意を以て動き候。
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藍 あらゆる日々の術の後ろの隠れたる手を記憶し候へば、ある物語は真の模様を示すために雨を要し候。
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紫 意味の変はりは古き道具の新しき手品を示し、持つものは思はぬものとなり候。