Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 月

月の浅碧。中央の鏡に色が映る絵

浅碧

正位 · #AFEEEE

狭き道が湿地を曲り、薄明の中に定かならず、近ごろの潮の上りにて面は滑り候。犬は舌を湿りたる気へ出して走り、狼は道の縁に現れ、野生の目が微かなる光を映し候。両者の間にて、土の一筋が浅き水の上の橋となり候。塔は遠く離れ、蒲の中より立ち上り候。雲は月の周りに集まり、薄き光を通すほどに薄く、その光は地の上へこぼれ、物の輪郭のみを辿り候。石、葦、海の入り込めるところを印す水溜に御座候。地平は辛うじて見え、すべてが神秘の縁に漂ひ候。

遠き土地にて、話は川の渡しより始まり候。商人はかつて渡しを待ち、土より引きたる鉱物にて染めたる布に品を包み候き。固く包みたるこれらの束は、磨きたる石を抱き、人はこれを山の湖の底にて見出し、幾世紀の水と風とに滑らかにされしものと信じ候。ある土地にて、家の壁は同じ川床の泥より成る漆喰にて覆はれ、湿りたる夜に室へ涼しく静かな感を与へ候。古き話は、これらの壁が夢を庇ひ、外の世界の混乱を入れずと申し候。

汽水の近き古き村の内にて、魚の鱗の形の瓦にて建てたる湯屋が立ち候。ここの池は黄昏の直後に満たされ、面は硝子のごとく静かに、湯気は静かに梁へ立ち昇り候。貴殿が手を浸せば、水は嵐の前の気のごとく感ぜられ候。柔らかく、ほとんど滑り候。腰掛けの上にて、手にて織りたる畳みし手拭が、簡素なる木の櫛の傍らに休み候。番をする者は低き声にて語り、訪るる者に緩く動くこと、遠き湿地より戻る鶴の音を聴くことを思ひ出させ候。

海の及ばぬ内陸のいづこかにて、羊飼は開けたる空の下に群れを保ち候。彼らは、流れの曲りて緩むところのみに生ずる植物にて染めたる衿巻を着け候。これらの衿巻は、派手さのためならず、宥むる力のために珍重され候。日没に頸へ纏ふ柔らかき布、あるいは草の上に眠るとき頭の下へ畳むものに御座候。その色は浅碧に御座候。祭の日、家族は紐へ珠を通し、珠の一つ一つが静かな水と明らかなる朝との記憶に御座候。彼らはこれらを印しとして交はし、旅のいかに曲るとも、安全へ戻る道は常に在るとの約束に御座候。

風雨にさらされた家の厨にて、飯の鍋が川石より彫りたる鉢の傍らにて煮え、その面は触るれば涼しく候。窓の敷居にて、遠き岸よりの押し葉が陶の皿の中に干され、その香は河口より運び込まるる塩と混じり候。日記帳が卓の上に開かれ、表紙には鷺の図が浮き彫りに御座候。内の墨は絶ゆることなく流れ、手の届かぬやうに見ゆる夢を記し候。外の月下の道のごとく、半ば見えて、半ば察せらるるものに御座候。

今夜、貴殿は湯を用意し、湯気をして思ひを静まらせ候へ。滑らかなる石より自らの首飾を通すもよし、柔らかき衿巻を肩へ纏ひ、開きたる窓にて深く息を停むるもよしと存じ候。あるいは日記帳へ静かに書き、外の世界が自らの緩き律へ落ち着くに任せ候へ。

今日の色は浅碧に御座候。
Lucky Color: PaleTurquoise — #AFEEEE月の見守る下の旅は穏かにて、静かな道は深き理解へ導くべく候。

月へ戻る