月
XVIII
正位
二本の塔、そのあひだの道、犬と狼、水より上がり来るものが御座候。月は、道が半分のみ見え候牌に御座候。
月は世界を明るくし候はず。余分なる輪郭を一度取り上げ、手元の皺と濡れたる縁のみを残し候。犬は馴れたる感覚、狼はまだ名のなき感覚に御座候。塔は人が決めたる境界に御座候。
今日のこの牌は、全部の見え候まで待つことには御座なく、見ゆる半分の道を歩くことを象り候。
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銀 半ば見える世界は光を縁とし、映りごとに道を抱き候。
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薄紫 貴殿は半ば見える道にて薄紫の花を頼み、夜の気に穏かに運ばれ候。
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夜青 半ば見える道は静かに歩み、長く残るものを頼む者を助け、夜の静けさが穏かな導となり候。
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薄群青 薄群青は影と朝との間に待ち、亜麻の上の息のやうに柔らかく候。
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浅碧 月の見守る下の旅は穏かにて、静かな道は深き理解へ導くべく候。
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幽白 幽白の帳を今しばし留め、半ば示す光の道を辿り候。
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粉青 半ば見えるものの輪郭を辿る慰めのうち、朝の空の静かな約束が貴殿の歩みを導き候。
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石青 半ば見える道は忍耐と静かな信頼を促し、潮と塔とが歩みを導き候。
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小麦 月の示す道を、その全きに及ばずとも辿れば、収穫が貴殿に静かな信頼を思ひ出させ候。
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亜麻 貴殿の道は穏かに照らされ、古き糸が先へ導き候。
逆位
霧は道ごと隠すか、不安はすべての影に名を付け候。想像は事実の席に坐り候。狼の声を危険のみとして聞くか、犬の声を無視して野へ入り候。
月が逆位となれば、夜の曖昧さを耐えられず、偽りの明るさにて道を塗りつぶし候。
今日のこの牌は、不安に次の展開を書かせず、今見ゆる次の一歩の地面のみを踏むことを象り候。
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霞桃 夜明け前の静けさと、掌に持つ花の温もりとに御座候。
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煙白 霧が名を沈黙へ戻すがごとく、貴殿の今日は穏かに定まり、世界の静まる間に真実は待ち候。
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薄墨 世界は暈くるも、暗き中に忠なる形は残り、静かな一時がすべての帰路を記憶し候。
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石鼠 霧は名づくるところを名づけ、今夜の道は貴殿を記憶し候。
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濃石鼠 霧の中にて道は再び名を待つべく、今夜の耐久は貴殿の灯に御座候。
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浅石鼠 霧は降りて名は流れ去り、井戸のみが記憶し候。
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濃石青 今夜、霧は奪ひしもののうち要るもののみを返し、静かに歩けば道が記憶し候。
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藍 道はしばし消え、川は行く先を記憶し候。
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黒 夜の縁は終りにあらず始めにて、隠れたるものの内に帰還の種は御座候。
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薊 道の隠るるときにも薊は根を張りて屈せず、野の印が貴殿に安全なる通りを示し候。