Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 月

月の薊。中央の鏡に色が映る絵

薊

逆位 · #D8BFD8

牌の上にて、狼と犬とは移ろふ空へ鼻面を上げ、暗き中に境が暈け候。潮の水は冷たく石の上を這ひ候。道は葦と霧とへ溶け、月の顔さえ雲の層の背後に隠れたるやうに御座候。静けさの中にて、馴染みなるものは異様になり、声は鈍り、家の安全なる輪郭は混乱により縁を退けられ候。今夜、知るものは知らぬものへ道を譲り、地そのものが、全くは記憶せられぬ記憶の中へ滑り込むがごとし候。

これは啓示の夜にあらず、停まりの夜にて、前への一歩は露に重き草へ、あるいは茨の刺へ着くことも候。野は静けさの下に休耕して横たはり候。門の外にて、忘れたる隅に栄ゆる野生の植物が番をし候。その茎は強く、葉は鋸歯にて、冠は棘と房との冠に御座候。硬く、招かず、なほ頑なに生き候。かつてこれらの植物は、古き路の粗い縁と、いかなる犁も領することを敢へてせぬ地の境とを印し候き。その根は、他のほとんど育たぬ土を掴み、伝説と歌とを縫ひ候。蘇格蘭の高地の丘、低き石の垣、風の彫りたる牧草地は、この形を知り候。飢ゑに対する番兵、耐久の紋に御座候。その植物は薊に御座候。

民話は風に乗りて旅し、守護と苦みとのこと、侵入する軍の行軍が、素足の兵の叫びにより裏切られたる日のことを語り候き。植物の防ぎは人の盾となり、その頑なさは集結の印となり、旗へ刺繍され、銭に刻まれ候き。霜に噛まれたる厨にて、その若き芽はかつて煮られ、飢ゑたる家族を支へ、味は鋭く、養ひの約束は、鎧を剥ぎ取ることを厭はぬ忍耐の指によってのみ得られ候き。他の土地にて、晩夏の午後の静けさの中、敏捷なる手がその茎より繊維を撚りて粗い糸を織り、擦り切れたる布の穴を継ぎ、あるいは市のための束を結び候き。

雲に覆はれたる月の下、露は棘と花弁とに集まり、衣の中へ降りる冷気にて、薄き壁を滲み候。風へ寄りかかる小屋にて、植物の干したる頭は戸口の上に吊られ、不運と彷徨ふ霊とを遠ざくると信じられ候。旅する者は、先の道の定かならぬとき、その花を摘みて荷物へ収め、護りのためとなし候。嵐は荒野を横切り、羊さえこれらの植物に触れず、その棘の防ぎは天候にも時にも減らず候。夢の乱るるとき、あるいは方角の失はるるとき、その葉を蜂蜜とともに浸せば、休まらぬ心を落ち着かせると言ふ者も候。

今夜、貴殿は閾を彷徨ひ、野生のものの根を張りて栄ゆる場所を印すもよしと存じ候。採りたる葉より茶を浸し、丁寧に用意し候へ。小枝を印しとして懐へ携へ、あるいは干したる花を枕の下に置き、安からぬ夢に語らせ候へ。野の縁に停まり、古き話の輪郭を辿り、古き印をして夜を通じて沈黙の番を続けさせ候へ。

今日の色は薊に御座候。
Lucky Color: Thistle — #D8BFD8道の隠るるときにも薊は根を張りて屈せず、野の印が貴殿に安全なる通りを示し候。

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