Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 月

月の石青。中央の鏡に色が映る絵

石青

正位 · #6A5ACD

夜は水の上に煌めき、潮の寄せるうち、二つの沈黙せる塔の間を動き候。ここの道は全く明らかにはあらず、柔らかく定かならぬ光に包まれ候。犬と狼とが岸に停まり、両者ともに気の変はりに警戒し、一方は飼はれ、一方は野生にて、記憶より古きものの引きの下に御座候。頭上にて、空の灯は緩く動く雲に帳を掛けられ候。干潟と小石とは、水の退くとき光り、いづこへも行かぬやうにも、同時にいづこへも行くやうにも見ゆる道を顕はし候。

北方の丘のいづこかにて、層を成す石が古き石切場より割られ候。これらの石は古き誓ひのごとく硬く、幾世紀も小屋に屋根を掛け、庭を囲み候き。漁人はその重みを手の感にて知り、舟より藤壺を削る道具の重さに合はせ候。野を過ぎて、これらの割れし石は石南の縁をなし、気は冷たくなり、風は雨の香を運び候。ここにて、今夜のごとき月の下、村人は幾代も集まり候き。話は卓の周りに廻され、古き茶器が坐り、その面は穏かな艶に釉を掛けられ、外の微かなる黄昏を思ひ出させ候。その色合は石青に御座候。

塔の間の道は、夜を見守る者と、秘事を保つ者との歩く道に御座候。市にては、同じ色が屋根の高き石板に着き、煙突掃きがかつて夜明けに働き候き。煙突と瓦とは隠れたる庭を庇ひ、菫の鉢は硝子へ押され、月の映りの捕へられて保たるるところに御座候。かかる夜、市は閉ぢたれども、戸を下ろしたる屋台の奥にて、布商の布が棚の上に畳まれて待ち候。これはある種の天鵞絨のために選ばるる色にて、行李と上衣との裏をなし候。冷気を防ぐため、あるいは囁きを襞の内に安全に保つための色に御座候。その布の下にて、文は隠され、押し花、あるいは運のための銭が御座候。

遠く昔、同じ色は岸に沿ひて交易する商人に珍重され候き。野生の植物より煮たる染料は、手と樽とを同じく染め、夕の気の中に乾くにつれて色は深まり候き。船人の衿巻と旗とはこれより作られ、海の霧の朝にても、その船が友にも見知らぬ者にも知られ候き。遠きところにて、嵐は地平の上を転がり、その雷は霧に和らげられ、危さは感ぜられても、なほ見られず候き。かかる夜の天候は定かならず、地は露にて滑り、唯一の確実は戻る潮の約束に候き。

今夜、月の輝きは定かならねども、石と雲と布とにて道の縁を辿り候。これを尊ぶために、人は塔の下を歩くことも候。夜の気は冷たく、石は幾世紀の通過にて滑らかに磨かれ候。一人は最も古き鍋にて茶を煮、湯気を静かな厨に立て候。もう一人は行李を開き、天鵞絨の、時に擦り減りたる衿巻を見出し、干したる石南の香がその襞に押され居るを見候。あるいは夜明け前の静けさにて、指が石板の屋根の棟を辿り、雨の常に留まるところを探り候。

今日の色は石青に御座候。
Lucky Color: SlateBlue — #6A5ACD半ば見える道は忍耐と静かな信頼を促し、潮と塔とが歩みを導き候。

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