動かざる騎手は、鎧を着て屈せず、二つの塔の門の下を過ぎ候。光は男の後ろに昇り、夜の最後の帳を散らし候。鎧の手袋にて、五弁の花を持ち、新たに切られ、厨の卓の瓶にて垂るる類にて、花弁は浸さるるを待つ押しし茶菓子の如く候。馬は前へ歩み、蹄の許の絡みし人々に無関心にて、常に塔の平原へ開く暁へ向かひ候。光景に怒りはなく、一つの場面の閉ぢ、別の場面の待つ感じのみに候。旧きものが剥がれたる後、褥の上に敷かれし新しき一枚の如く、きりりと候。その花の色は花白に御座候。
幾世紀を横切る家にて、終わりの儀式はこれらの小さき繊細なる花の周りに集まり候き。花嫁はかつてそれらを花飾りへ編み、婚宴の終わるとき溜息とともに脇へ置き、家への旅のために折りたる手巾へ挟み候き。安那托利亜と普羅旺斯の高き谷にて、摘む者は暁に野を進み、蜜漿と甘酒のための花弁を集め候き。日の昇る前の早き朝の涼しさを要する、繊細なる仕事に候き。花は書の頁のあひだに押され、あるいは葬りの甘き扁桃の菓子の上に散らされ、その香りは告別の沈黙の上へ静かに昇り候き。世を横切って、花弁は一日より次の日へ、一つの季節より別の季節への通過を印し候き。
牌よりの塔は、霜にて釉を掛けられし平原に立ち候やうに候。空気は鋭く、淡き霧は漂ひ候。かかる朝、地は霜に縁取られ、息は渦巻き、貴殿は盆を窓へ運び、最初の微かなる光を受け候。瞬間には沈黙があり、手紙の開かるる前、あるいは客が冬のために家を閉ぢに着く前の静けさの如く候。阿爾卑斯の村にて、牧人はかつて乳色の羊皮を柵の線に下げて干し、その毛は低き光を受け候き。市にて、古き店主は糊を纏ひし亜麻の束を結び、季節の転ずるにつれ、去年の夏の制服を折りてしまひ候。世は終わりのための小さき儀式に満ち候。通夜のための生地を捏ねたる後に台より粉を拭ひ、蕾糸の布を振ひて卓の上に敷く前に、半ば閉ぢたる帳を通して朝の煌めくやうに気づくために休らふことに候。
天候そのものが、この優しき終結を運び得候。低地にて、霧はしばしば暁に集まり、庭の柵と廂の欄干を薄く涼しき露にて濡らし候。日の輪郭の描かれ候へども、なほ始まらざる時に候。早く出づる旅人は、野の上にこの沈黙を見候やうに候。やがて上がる優しき屍衣にて候へども、しばしあらゆる輪郭の見ゆることを許し、それぞれの茎と石が日に変へらるる前に休み候。かかる朝、人は常に簡き行ひにて時の移りを印し候き。炉に蜜蝋の燭を灯し、去りゆく客のために乳の鉢を出し、彼らの後ろに雨戸を柔らかく閉づることに候。
今日、書より押しし花を取り、財布へ置き、あるいは暁に摘みし花弁にて茶を一椀淹れ候へ。厨の布を整へて折り、明日のために広げ、あるいは盆を窓へ運び、霧を見むとて休らひ候へ。それぞれの仕草は、一つの章の閉じと、その向こうにあるものの優しき約束とを印し候。
今日の色は花白に御座候。
Lucky Color: FloralWhite — #FFFAF0花と朝にて織られたる終わりは、次に来るすべての輪郭に御座候。