Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 死

死の桜。中央の鏡に色が映る絵

桜

正位 · #FFC0CB

騎手は前へ進み、馬は確かにて、淡き花は手に持たれ、暁はちょうど遠き二つの塔のあひだへ滑り込み始め候。この通過に暴力はなく、何かが閉ぢ、別の輪郭の描かるるを待つ沈黙のみに候。その花、麝香撫子は、久しく頁のあひだに押され、別れに贈られ、記憶と希望との両方のしるしに候き。塔は、静かなる英吉利の緩き斜面より見えしもの、あるいは欧羅巴の古き市の打たれし門にて、過ぎたるものとなほ始まらむとするものとの、石の栞に候。その花の色は桜に御座候。

古き庭にて、麝香撫子は収穫の終わりに集められ、その香りは約束の如く空気に下がり候き。希臘の神話にて、それらは神々の花と呼ばれ、泊瑟佛尼が下へ帰る前にかつて地に触れしところに育ち候き。沈黙の僧院にて、尼は壁に囲まれし畑にそれらを育て、聖者の祭のための冠へ通し、祈りの書へ一枝を挟み候き。花弁を乾かして浸剤となし、これらの花が心の痛みを和らげ、移りを宥め得ると信じ候き。生くる者のための小さき慰めに候。ある地にて、麝香撫子は交易の道を渡り、絹の手巾の襞に挟まれ、運の成され失はるる混みし市にて交はされ候き。

激き雨の後に天候が柔らかく転じ、朝が細かき霧に帳を掛けらるるとき、世はしばし吊されたるやうに感じられ候。一つの物語が終わり、次が霧のすぐ向こうに待つやうに候。騎手の暁はかかる朝にて、涼しく新しく、花弁は露の上へ静かに落ち候。幾世紀にわたり、人は簡き家の仕草にて終わりと始まりとを印し候き。洗面器の近くに残されし薔薇の香る石鹸の一塊、小さきひだの花の房にて縫ひ取られし手拭に候。厨の引き出しにて、扁桃の菓子の古き処方は、保存されし花弁の壺の傍らに挟まれ、更新の最も必要なるときの甘さの跡に候。

麝香撫子は繊細にて候へども、粘り強く候。旧き世の市にて、荷運びは、子を失ひし母の戸口へ、熱より覚めつつある者の枕辺へ、それらの籠を運び候き。祭の日、娘は髪のためにそれらの鎖を編み、冬の過ぎ、生の形が二度と全く同じにはならぬとも、新しき育ちの確かなるしるしとなし候き。田舎の静かなる隅にて、花弁は墓と祭壇の石の上に散らされ、何も全くは失はれず、ただより静かなる用途へ転ぜられしといふ優しき保証に候き。

今日のために、貴殿は花を机の上に置き、あるいはなほ送らざる手紙の頁へ小さき花束を挟み候へ。薔薇水にて甘きものを焼き、あるいは流しの傍らに花の香る石鹸を置き、手を洗ふあひだに記憶を吸ひ候へ。庭を過ぐるならば、ひだの花のあひだにしばし休らひ、終わりたるものを空気が運び去り、次の輪郭の始まるに任せ候へ。

今日の色は桜に御座候。
Lucky Color: Pink — #FFC0CB終わるものは最も優しき始まりをもたらし、桜は静かなる勇気の色に御座候。

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