騎手は暁に前へ押し、手袋の手は六つの柔らかき花弁の花を携へ、新しき空気の中に軽く揺れ候。夜の冷えにも、なほ正午の灼けにも御座なく、そのあひだの空間に候。野の上に滞る最後の霧、市の覚むる前に来る静けさに候。二つの塔のあひだにて、空は息を潜め、騎手の馬は草の石と会ふところに静かに蹄を鳴らし候。一つの章の終わりは、別の章のための沈黙の余白と成り候。
騎手の手の中には、かつて遠き川の岸を彷徨ひし古き獣に属せしものが御座候。獣の倒るるとき、その長き曲がれる牙は、表面を形作る者により掘り起こされ、洋琴の鍵、あるいは封切りの小刀の握りと成り、親指の下に滑らかに候き。幾世紀の前、これらの牙は帝国の牙と成り、交易の重みと絶滅の影とを負ひ候き。されどここで、花の象徴の中にて、その古き骨は優しきものへ変へられ、終わりの記憶は柔らかく更新へ向き候。その材は象牙に御座候。
地平の塔は、古き市の門に似候。石の獅子がかつて、過去と未知との境を守りし場所に候。かかる門の内にて、商人は象棋の駒が盤の上に待つと同じ貴き材より刻まれし匙にて、米の粒を量り候き。狭き厨にて、厨人は浅き鉢にて米の粥を掻き混ぜ、粒は膨らみて柔らかくなり、簡くかつ儀式的なる食事にて、季節の閉じにふさはしく候。遠き仏塔の丸屋根より、書を描く筆の柄まで、この材は死より生へ、終わりたるものよりちょうど始まらむとするものへの、念入りなる渡りを印し候き。
早き朝に外へ出づれば、空気は洋琴の鍵の表面より払はれし塵の如く柔らかく候。日光はなほ鋭からず、薄き雲に濾され、静かなる変はりを招く天候に候。家にて、貴殿は化粧台の上に休らふ櫛を見出し候。一枚より刻まれ、新しき日の前に髪を撫づる道具に候。あるいは窓辺に休らひ、窓縁へ落ちたる花弁の中の柔らかさを見、その肌理が冬の沈黙の後の春の戻りを約束し候。新たに塗られし戸の輪郭は、一つの部屋より別の部屋への通過をほのめかし、ほとんどの者には気づかれず候へども、真の閾に候。
今日、貴殿は古き友と並びて盤の上に象棋の駒を置き、音が、終わりたるものと開け得るものとの響きをすべての一手が運ぶことを思ひ出だすに任せ候へ。鉢の中の粒を掻き混ぜ、用ふる匙を形作りし手を思ひつつ、念入りに返し候へ。この小さき儀式のために作られし小刀にて手紙を開き、その行ひが新しき知らせの可能を招くに任せ候へ。天候の許すならば、眠るあひだ窓を細く開け置き、柔らかき空気が暁に滑り入り、それぞれの終わりが静かにて生きたる何かを連れ入ることを貴殿に思ひ出だすに任せ候へ。
今日の色は象牙に御座候。
Lucky Color: Ivory — #FFFFF0今日、古きものの縁を辿り、次に来る輪郭を感じ候。