騎手は淡き花を持ち、馬は暁の前の沈黙を歩み、世はありしものと待つものとのあひだに休らひ候。二つの石の塔は地平を枠取り、冷たく動かず候。その後ろにて、最初の光は上へ溢れ、なほ踏まれざる道を約束し候。騎手の足の下の古き野は黙し、終わりの重みを負ひ候へども、空気は貴くかつ新しき何かにて動き候。
古き川と沈黙の山にて、人はかつて王と女王が宝庫に守りしものを求め候き。稀なる金属にて、塊と塵とに煌めき、冷き水より手にて篩はれ、あるいは岩より削られ候き。その金属は金に御座候。数千年にわたり、帝国はそれのために興り、倒れ候き。宝は貨幣へ打たれ、大陸を越え、衣の裾へ挟まれ、あるいは嫁資と別の日への希望として埋められ候き。世の最も聖なる器物、冠と聖像、供への皿、聖者の光輪は、この元素より形作られ候き。最も耐へるものは破壊され得ず、ただ変へられ得るといふ象徴に候。
歴史はその追求に書かれ候。沙漠を越ゆる隊商、未知の地へ風に追はるる高き船、黄金郷の物語が夢見る者を密林へ誘ひしことに候。今なほ、流れの縁にて浅き皿にて砂を洗ふ人のをる地が御座候。移ろふ沈泥の中に、金属の約束は煌めき候。希馬拉雅の心にて、あるいは加納の密林にて、探しは続き、静かにて希望あり、篩ひ分くる儀式、滓を後に残す儀式に候。
厨にて、結婚の指輪は茶の掻き混ぜらるるあひだに匙へ柔らかく当たり、炉棚にて、別の世代よりの鎖匣は朝の日を受け候。見慣れたる道具、簡き叉と盃、腕時計の細き鎖は、かつて絶望的なる渇望にて求められしものの跡を運び候。祭の日、頁のあひだに押されし繊細なる葉は出され、その葉脈は金線細工の如く細く、ある終わりはただ新しき形の始まりなる思ひ出に候。宗教の儀式にて、薄き器物は捧げられ、蝋燭の揺らめきを映し、生くる者と去りし者とを沈黙の理解にて結び候。
世の市にて、商人はなほ量り測り、秤はこの古き金属の薄片にて均衡を保ち候。貨幣は毎年打たれ、新しき顔を刻まれ、誕生のため、婚姻のため、旅の始まりまたは終わりのためのしるしとして渡され候。天候の厳しく乾きたる地にて、平原の上の日光は鉱夫の報ひの如く感じられ候。長く冷き夜の後の温みの降り注ぎにて、空そのものが測り得ざる価を約束し候。
終わりを印す者のために、簡きことが御座候。今夜、貨幣を貴殿の枕の下に置き、それが運ぶ恐れの暁までに溶くるを思ひ候へ。伝へられし指輪または装身具にて朝の茶を掻き混ぜ、貴殿の前にそれを持ちし手を思ひ候へ。葉を二つの頁のあひだに押し、別の季節に開かるるを待つ書へ挟み候へ。窓を通る最初の光を、前へ携ふるものが永らへる何かへ形作られ得るしるしとなし候へ。
今日の色は金に御座候。
Lucky Color: Gold — #FFD700終わりは次の始まりの場所を空け、変はりゆく約束を貴殿は携へ候。