Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 節制

節制の赤。中央の鏡に色が映る絵

赤

逆位 · #FF0000

二つの器は傾き、水は的を外し候。継ぎ目なき流れは御座なく、卓の上のこぼれ、誤れる方向に失はれたる輝きのみが御座候。この壊れたる交換にて、世界もまた傾き候。注がるるものと受けらるるものとの、整ひたる線はぼやけ、長く均衡に保たれたるものが溢れ候。

安那托利亜の古き丘にて、石榴は石の上に割れ、種を塵の中へ散らし候。この果実は、生と豊饒との約束として尊ばるるも、時に集めらるる前に裂け、その恵みは下の地へ失はれ候。民話は囁き候。得墨忒耳が珀耳塞福涅を求めて世界を探ししとき、かかる果実を半ば食みて残し、種は不自然にきらめき、その悲しみの通り道を印し候き、と。制御なき裂け、早き到来、茎よりの滑りは、すべて節制の逆位の不均衡を映し候。誤れる方へ向けられたる豊かさ、手綱なき甘みに御座候。

はるかに北、空気の薄き山の村にて、初秋に風の鋭くなるところ、煙突の煙は熾火の香を運び候。火掻きは先端にて輝き、火より長く引きすぎられ、冷気を灼き候。これらの棒は、年月にて端の鈍り、古き台所の記憶を保ち候。焼けたる指、こぼれたる煮汁、石に当たる鉄の悲鳴に御座候。均衡のために作られたる道具、掻き、持ち上げ、灰を移すものは、誤って用ひらるるとき逸れ候。清き炉への火花のこぼれは、混沌を脅かし、手の揺らぐとき、家の温かささえ危きへ滑り得ると、思ひ出させ候。

賑はふ威尼斯の港にて、商人は絹の道より布の梱を携へて戻り候。その中に、天鵞絨の一反が御座候。重く豊潤にて、儀式と権力とのために取って置かれ候。切り方を誤れば、布はほつれ、糸は瓦の上を引き、不注意なる足に踏まれ候。かかる布はかつて位と儀式とを印し、その存在は注意を求め候き。されど扱ひを誤れば、荷と成り、飾り得たるものの囁きにて、今は無駄に横たはり候。宮殿の納戸にて、この天鵞絨の切れは、時に傷へ押し当てられ候き。その厚さは血を止め、生を保つと信じられ候き。されど注意なくしては、この癒す意図さえ失はれ候き。

外にて、夏の盛り、突然の猛暑が地を掃き候。雨雲は逃げ、畑は容赦なき日の下にぱちぱちと鳴り候。農人は、空の割れを拒みし季節、鋤の上に熱の揺らぎ、牛の木陰にて喘ぎしことを思ひ出し候。一日は圧し、押し潰されたる野生の実の香が、息苦き空気に残り候。水は、かくも貴きに、根を浸す前に蒸発し候。天候の不均衡にて、収穫の約束はよろめき、気性は地と同じくほつれ候。

繊細なる均衡の傾き、水の杯の外にこぼるるとき、人は石榴の種を捕へ、舌と歯とのあひだに押し、酸味にて心を地に着け候。火掻きを磨くは賢く候。指をその長さに沿ひて走らせ、定まりたる手の静かなる確かさを思ひ出し候。人は天鵞絨の切れを繕ふことを選び、針に糸を通し、忍耐にて、ほとんど失はれたるものを戻し候。あるいは正午に外へ出て、熱にて渇きたる草木の沈黙に耳を澄まし、根へ水の一杯を注ぎ、残る均衡を捧げ候。

今日の色は赤に御座候。
Lucky Color: Red — #FF0000均衡は小さき行ひの積みにて作り直され、こぼれは貴殿に器の傾きを教へ候。

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