御者の道にて、二頭の力強き獣は馬具に力み、それぞれが自らの方向に心を向け、蹄は平らならざる敷石の上を刮ぎ候。戦車は震へ候。前へはほとんど前へに候。一歩一歩は引つ張り合ひと成り候。指揮は御者の手より滑り、旅は動きの行ひのみに溶け、到着は見えず候。縁にて、古き道は荒野を抜け候。平らなる石は地より突き出し、忘れられたる勇士の風雨に晒されたる背の如くに候。霧は窪に集まり、今と次のあひだに帳を引き、まはりにて、世界は岩の忍従の辛抱にて印され候。
北にて、鉱夫はかつて山腹を割り開き、雨と時に打たれたる町の屋根のための石板を求め候き。彼らは狭き竪坑を降り、革の長靴は梯子の段の上の緩き欠片を刮ぎ、顔は数へ切れぬ世紀の塵にて汚れ候き。同じ石板は今、蔵に待ち、積まれて重く、それぞれの板は沈澱に圧されたる古き海の圧を覚え候。厨にて、厨人はその岩より削られたる板を用ひ、乾酪や麺麭を供し、大皿は食を地の重みに根づかせ候。工人はそれを卓と庭の段に形作り、その面は手の下にて涼しく辛抱に候。
別に、高き山の峠に沿ひ、旅の人は聳ゆる崖の出張りの下に足を止め候。その面は雨と霜にて脈を引き畝られ候。霧はこれらの高みに自らを掛け、音を曇らせ、隔たりをぼかし候。老いたる羊飼は、変はる空を見るを学び候き。雲の厚くなり低くなり、雨の着実にして冷く来る午後を告げ、会話のすべてを静かにし、石板の屋根よりの着実なる滴のみが空気を満たすまで候き。かかる日、世界は炉と、縮絨の羊毛より縫はれたる厚き外套へ縮まり候。風と塩に見慣れたる手にて縫はれ候。火の輝きは壁に長き影を投げ、外の落ち着かざる世界よりの聖域を作り候。
町にて、石は路地へ道を見、急ぐ足の数千にて滑らかに擦られたる敷石に嵌められ候。早朝の冷気はそこに残り、往来の膨らむ前の静けさに応へ候。唯一の動きが番人の箒の掃き、毛が近く合はされたる継ぎ目の上を囁く時に候。建物のあひだにて、空気は湿り、雨の約と嵐の記憶にて重く候。通り過ぐる人は足を止め、壁の線を辿り、塗と漆喰の下に立つ着実さ、採石されたる地の頼もしく歌はれざる強さを感ずるもよく候。
今日自らを地に着くるため、石垣の頂に触れ、割れ目の苔の模様に気づき候へ。厨の卓にて文を書き、貴殿の考へるあひだ、頑丈なる石板の鍋敷の縁を辿り候へ。夕霧の厚くなるにつれ外に立ち、貴殿の街路の和らげられたる音に耳を澄まし候へ。多くの季節を耐へたる外套に身を包み、決と方向より長く残るものの辛抱を覚ゆるもよく候。
今日の色は濃石鼠に御座候。
Lucky Color: DarkSlateGray — #2F4F4F石と天候に従へば、動きは自らの拍子を見出し候。