Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 戦車

戦車の石鼠。中央の鏡に色が映る絵

石鼠

逆位 · #708090

馴らされざる獣の一対は、確かならざる戦車に軛を付けられ、反対の方向へ力み候。御者は手綱を握り候。されども車輪は碾き候。前へにも後ろへにも進まず、その場にて回るのみに候。下の道は古き石にて層をなし、遠く去りし手にて形作られ置かれ、足に粗く、世紀の雨と車輪にて穿たれ候。これは輝く練兵の場には御座なく候。砦の後ろの路地に候。何も塗られず磨かれず、仕事は曳くことと動くことのみに候。動くことのために候。

御者の頭の上に石板の屋根が御座候。瓦の一つ一つは手に重く、冷き高地の石切場にて地より引かれたる岩の層より切られ、丁寧なる労にて積まれ釘付けられ候。嵐のまた嵐、霙と刺す風、屋根は耐へ候。主たる破風の旗の朽ちたる後も長く、これらの瓦は残り、着実にして目立たず候。水はその面に珠となり、次いで流れ、樋の割れたる鉄管を見候。音は着実に候。遅く均等なる鼓に候。秋の風にはより大きく候。下の家は温かく候へども薄暗く、部屋は近く実用に候。床は掃かれ候へども、決して磨かれず候。

町の外の谷にて、朝霧は川より漂ひ、厚く辛抱に候。羊は出で、毛は絡まり、草は露にて平らに候。農の手は岩の道を歩き、長靴は泥にて滑り候。彼らは割れたる石板の束を運び、自らの重みにて崩れたる壁を繕ひ、一片また一片を合はせ候。美しさのためには御座なく、強さのためにのみ候。石切場は今静かにて候。されども屑は残り候。割れたる板、縁は鋭く、積に積まれ、用ひらるるか、何もなきまで風雨に晒さるるかを待ち候。

窓の傍らの仕事卓に、石の硯が立ち候。傍らに、粗く染めたる羊毛の表紙の帳面、背は割れ、隅は擦り切れ候。筆は鋼に候。墨は遅き滴りに候。それぞれの行は小さき取引の記録に候。売られたる乳、繕はれたる道具、次の確かならざる旅のために雇はれたる荷車に候。帳面の頁は汚れ候。不注意よりには御座なく、絶えざる扱ひ、市の日ごとに拇指にて捲られたるよりに候。

外にて、雲は低く強情に降り候。雨は暁より落ち、着実なる帳に候。庭に水溜を作り、聖堂の石板の尖塔を流れ、窓を冷き湿りにて斑に候。子どもは掌を硝子に圧し、水滴の中に道を辿り、街路のいつか乾けば行き得る場の想像の地図を描き候。風は高き荒野の冷気を運び、地衣と石の粉の香に候。

この日へ踏み入るため、人は薬缶を竈の上に置き、庭の小屋の古き石板を継ぎ始めるもよく候。あるいは硬き毛の箒にて戸口より水を掃くもよく候。文は丁寧なる筆にて書かれ、終へられ封じられ、次いで霧雨を抜けて郵便函へ運ばるるもよく候。耐ふるものを繕ふこと、道の確かならざるときさへ出で歩くこと、見せびらかさず小さき仕事を世話することに、静かなる決が御座候。

今日の色は石鼠に御座候。
Lucky Color: SlateGray — #708090日は執念と、石の触れにて印され候。

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