Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 悪魔

悪魔の蜜緑。中央の鏡に色が映る絵

蜜緑

逆位 · #F0FFF0

悪魔の牌の鉄の鎖は、大きすぎて明らかにて、今は首の周りに緩く坐り候。思ひ描かれたる角、松明の光と冷き石との記憶は、常より遠くに見え候。室は静かにて、空気はなほ候。心を場所に保つものは、真の枷より、習慣の身振り、繰り返しにて滑らかに摩れたる馴染みの輪に御座候。ある人は重さにかくも慣れ、それが滑り去るとき、なほ縛られたるが如く坐り続け、指は金属のかつて肌へ押し入りしところを、怠く辿り候。

中央亜細亜の夜の市にて、織りたる天蓋の下、蜂蜜の農人は淡く透きたる果実の金字塔に貨物を積み候。甜瓜は重く、皮は水に富む核の上の薄き皮に御座候。売る人は一つを切り開き、広く平らなる小刀にて、過ぐる子どもへ涼しき身の三日月を差し出し候。甘みはかくも微かにて、ほとんど記憶のやうに見え、味そのものは優しくしてなほ執念に御座候。これらの果実は夜明けに速やかに手を渡り候。砂漠の縁がなほ露にて滑り、籠は、月の曲がりに抱かれたるやも知れぬ、丸く滑らかなる形にて満ち候。

古き森にて、天蓋の高みに、別の甘みが集ひ候。蚜虫は葉を刺し、その跡に、輝く蜜の珠を残し候。蟻はこれらの滴の周りに集ひ、蚜虫を牧し、葉より地へ粘き贈り物として傾く液を、それらより搾り候。羊飼は、巣を畑より林地へ移し、蜂のこの露を集むるところへ目を上げ候。樅と松との味のする蜂蜜を作り、複雑にて、舌に軽く、ほとんど霊の如くに御座候。昔、蜂を養ふ人は、この物質にて滑る枝を探し候き。最良の収穫は、世界の静かにして木の見えざる贈り物にてきらめく、霧の朝に来ると知り候き。

家にて、別の儀式が御座候。朝の果実を切り、釉をかけたる陶の皿に三日月を置き、供へを、一日の最初の風へ開きたる窓の朝餉の卓へ運ぶことに御座候。卓布は薄く、細かく織られ、様式化されたる蔓の模様にて刺繍されたることも候。甜瓜の涼しさは指先へ滲み、遅き夜明けと、用の始まる前の静けさとを思ひ出させ候。時に、稀にして湿りたる日、露は一夜窓の縁に残されたる硝子の内に沿ひて集ひ候。これは空気自身の収穫にて、日光のそれを持ち上げ去る前に、しばし捕へ保たるるものに御座候。

かかる贈り物を運ぶ天候は、嵐にも見世物にも御座なく、静けさに御座候。空のぼやけ、地の柔らかく、世界の新たに外されたるやうに見ゆる早き時に御座候。帖撒利亜の外の丘にて、羊飼は夜の吐息よりなほ湿りたる草の中を群れを導き候。一人は立ち止まり、草の葉を歯のあひだに押し、後に残されたる涼しき甘みを味はひ候。これらは劇の朝には御座なく、解放の朝に御座候。優しき解き、昨日の鎖の苔の中に忘れられて横たはることに御座候。

今日、人は市より甜瓜を家へ運び、売る人のしたる如く切り開き、静けさの中に一人にて、果実を遅く味はひ候。別の人は、新鮮なる薄荷にて果実の皿を散らし、隣の室の友へ運び、単純にして飾らず候。第三の人は夜明けに立ち止まり、裸足にて外へ出て芝生の露を感じ、水分の足の指のあひだに集まるを許し、一日の拘束はまだ決せられずと、身体に思ひ出させ候。

今日の色は蜜緑に御座候。
Lucky Color: HoneyDew — #F0FFF0甘みはすでに手の届くところにて、最も優しき朝に鎖は自ら緩み候。

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