牌の上にて、姿は祭壇の足元に残り候。されど今、鎖は首の周りに垂れ、忘れられたる紐の如くたるみ候。彼らは互いに見ず、角と松明とを持つ姿をも見ず候。その代はり、下を見つめ、錠の消えたるのち、世界の前より明るきとき、留まるとは何かを考へるが如くに御座候。力は彼らを保たず候。重さの習慣、枷の噛むことをやめたる後も長く残る囚はれの記憶のみに御座候。空気は明らかなるも、まだ選ばれざるものにて重く候。否認と惰性とがここで支配し、人の一人一人は緩められたる鎖を試し、立ち上がるか留まるかに定かならず候。
遠き畑にて、静かなる答へは育ち候。そこに、転ずる季節の中に、細き茎が地より昇り候。その花は淡く繊細にて、明るき日に花弁を速やかに落とし候。幾世代にわたり、これらの草は忍耐強き手にて播かれ刈られ候き。茎は朝霧の持ち上がるまさにその時に引かれ、束ねられ、露の中に和らぐために残され候。近くに、水は流れ候。川と流れとが、軍と帝国とを見たる地の中を巻くも、なほ注意して世話する者へ収穫を渡し候。茎の一つ一つは約束にて、泥と根との中に待つ変容に御座候。
家の内にて、古き労働は続き候。茎は浸され、打たれ、繊維の道を譲るまで梳かれ候。紡ぐ人は輪に坐り、習ひたる指にて糸を撚り、記憶より古き調べを口ずさみ候。糸は機の上に織られ、伸ばされ打たれ、長く滑らかなる長さへ誘はれ候。この仕事に律が御座候。謙遜にして同時に品位ある定まりに御座候。布の長さの一つ一つは、自らの物語を語り候。それを形づくりたる手、川の縁に過ごしたる朝、炉の傍に過ごしたる夕べに御座候。変容は叫ばず候。優しき執念の中に、輪の遅き転回の中に、機の柔らかき音の中に、開き候。
これらの布は、生の隅の一つ一つに場所を見出だし候。単純なる食事のために整えられたる卓の覆ひ、子どもが目覚める衣、黄昏に疲れたる肩の上に引かるる敷布と成り候。籠を縁取り、新たに生まれたる者を襁褓に包み候。窯より新しき麺麭を包み、温かさを捕へて休ませ候。旅人の帆を上げるとき、この布を携へ候。帰宅の祝はるるときもそこにあり、平らに滑らかに広げられ、集まるための、麺麭を割るための、新たに始むるための面に御座候。天候の良くも悪くも、これらの繊維は耐へ候。日に乾かされ、雨より救はれ、静かなる隅に圧され畳まれ候。新しきも摩れたるも、一片の一つ一つは、仕事の記憶と優しさの跡とを保ち候。
ある時、影は戻り候。知られたるものに附く衝動、鎖を飾りとして着ることの衝動に御座候。されど世界は、古き型を過ぎて動く小さき道にて満ち候。人は夜明けに涼しく織りたる筵の上に裸足にて立ち、急ぎなく一日を始むることも候。別の人は焼き、生地の上に布を置いて膨らむを助け、時に忍耐し候。好みの上衣を畳み、引き出しに置く前にその面を伸ばすことは、単純なる世話の瞑想と成り候。畑または庭にて茎の一握りを集め、鉢に浸すことさえ、変容の遅き技を尊び候。
今日の色は亜麻に御座候。
Lucky Color: Linen — #FAF0E6最も静かなる糸も、鎖は記憶のみと貴殿に思ひ出させ、新しき始まりは朝の光の中に優しく待ち候。