拱の蔭に二つの姿が御座候。手首は、忘れられたる肩掛の如く緩き鎖にて囲まれ候。石の床は湿り、上の世界を響かせ候。何かが彼らを保ち候。されど保つのは選択にて、宣告には御座なく候。上にて、角ある者は待ち候。されどこの度は、より刺さざる視線、より忍耐強き視線にて、彼らが自らの意志にて立ち上がるを期待するが如くに御座候。
古き物語にて、鏡は黄泉への閾に御座候。鏡の面は平らにして冷たく、長く控へられたる告白を見候き。月の食む皿、虚栄または悔ゆる者のために枠に入れられたる夜空の一片に御座候。家にて、ある人は面を清く拭ひ、馴染みと然らざるとをともに持つ顔を見候。喉の鎖は今や飾りにて、枷には御座なく候。映りは、心の記憶より正直に御座候。
はるかに北、光の速やかに褪せる月、川は凍り候。皮の下、流れはなほ生き、見られず候。漁師は凍りたる皮に穴を穿ち、金属の桶を通して響の鳴るに耳を澄まし候。罠の鎖は、習ひたる一捻にて跳ねて外れ候。この川は求めず候。されど見候。その面はきらめき、下の深みを隠し、氷は足の遅るか大股に歩むかを気にせず候。村人は、戸の上に食器と鈴とを連ね候。古き匙と配膳の叉との残り、最も恐るるものに対する護りに御座候。悪魔には御座なく、沈黙と停滞とに御座候。
交易の町よりの伝説に御座候。商人はかつて、消えたる王の顔を圧したる貨幣を運び、山の渡りの一つ一つのために新たに打たれ候き。財布の中にて、古き円盤は新しきものと混ざり、記憶と野心ととともに御座候き。これらを塩、麺麭、通行の文と交換し候き。夜、富を卓の上に注ぎ、貨幣の円盤の一つ一つを鳴らさせ候。量られ冷き音、保証に御座候き。運は取らるか残さるかに御座候。されど音そのものは残り、夜明けまでの自由を約束し候き。
台所にて、道具の引き出しは古き小刀を保ち、その刃は林檎を剥き麺麭を切る年月にて鈍り候。柄は滑らかに摩れ候。もはや害に足るほど鋭くは御座なく候。されど慰めのため、記憶のために保たれ候。近くに、凹みたる蓋の茶瓶が、灯の光を映し、小さき事を決するために貨幣を投ぐる鉢と棚を分ち候。ある人は杯を取り上げ、曲がれる映りの中に手の震ふるを見て、それを置き候。鎖は着きたるまま候。されど動きのたびにほとんど落ち去るほど緩く候。
外にて、雲は黄昏に集ひ候。嵐を脅さず、優しく落ちつき、屋根と裸の枝とを覆ふ静けさに包まれ候。空気は電の如く候。地が合図を待つが如くに御座候。どこかにて、風は古き茶匙より作られたる風鈴を弾き、まったく悼ましくは御座なく候、といふ調べを歌ひ候。天候は烈しくも穏やかにも御座なく候。されどある決定の成さるるを待つが如く、息を止め候。閾の影は祓はれず、自らの戸の慰めより見られ候。
今日、誰にても浴室の鏡を清め、言はれざるまま残る真を見るか、川岸に沿ひて歩き、凍りたる皮の下に動くものに耳を澄ますかに御座候。人は貴ぶ小刀を清め、それが記憶以上に仕へたる時を思ひ出すか、蓄へたる貨幣の一握りを卓の上に鳴らし、その音楽に問はれざるままの問ひを落ちつかせるかに御座候。
今日の色は銀に御座候。
Lucky Color: Silver — #C0C0C0鎖は緩く表面は明らかにて、立ちて待つ拱を過ぎ候。