Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 皇帝

皇帝の浅石鼠。中央の鏡に色が映る絵

浅石鼠

逆位 · #778899

玉座は評定の間にて空席にて立ち、臂は古き権威にて彫られ候へども、部屋を錨にて留むる治むる者は御座なく候。かつて遠き壁に重く掛りし旗は、塵と沈黙とを集め候。その印は判然とせず、命令の在るなくして失はれ候。扉は開きたるままにて、隙間風は石の敷石の上を動き、日課としてのみ残る議会の跡を掻き立て候。空しさの中にて、掟の一つ一つの重みは釣り合ひを失ひ、意志と見通しとの褪せしところにて手順の鎚の音は響き候。

壁の向ふ、古き石切場の縁にて、人はかつて平らなる岩を切りて積み、垣と小屋とに層をなし候き。その石は硬く、薄く、限りなく忍耐強く、構造のみによりて結ばれ、一つ一つは測りたる図に従ひて置かれ候き。漆喰は残らず候。噛み合ひのみが壁を直立に保ち候。督す者の不在なるとき、石工は示されし指示に従ひ、板の一つ一つを暗記にて据ゑ、労の意味が手の中の岩と同じく冷たくなるまで続け候。耐へるは耐へねばならぬゆゑにて、心は失せ候。

高地の村にて、屋根は地より割りし薄き板にて覆はれ、心を用ひて嵌められて雨と風とを外に保ち候。嵐の通り、空の低き雲と成るとき、その屋根は石のあひだに滲む寒さより家を覆ひ候。山の空気は絶えぬ霧雨をもたらし、静かに執拗にて、激しくも温かくも御座なく、季節がその中心を失ひしことを人に思ひ出させるに足るのみに候。荒原を横切る道は滑り、地と空との境は一つの単調に滲み、決せざる天候、忍耐の天候に候。

厨にて、牡蠣の盆が台の上にあり、殻の一つ一つは筋ありて粗く、内に淡き確かさを保ち候。夜明けに潮に従ふ手によりて収穫され、父と祖父と同じ仕草を繰り返せども、市の求むるは量のみにて、誇りには御座なく候。小刀は頑固なる蝶番をこじ開け、肉は珍味としてには御座なく、義務として供され候。数へらるる収穫にて、味わはるるものには御座なく候。家の他所にて、羊毛の毛布が椅子の背に投げられ候。温みのために織られ、作り手が完成のみを思ふまで記憶より模様を繰り返され候き。

岸にて、風に曲げられし灌木は、他の何ものも根を下ろさざるところに育ち候。枝は針金の如く、葉は小さく黙し、年月の屈せざる烈風と塩の空気とにて形づくられ候。見せるために咲かず、鳴く鳥を覆はず候。残るは生き延びの手順のみなるゆゑに続き候。この景色にて、形は働きと成り、もの一つ一つの目的は単に続くことに候。

今日、在るがままの世界とともに動かむと願はば、貴殿は古き石垣の後ろを歩み、時にて滑らかに成りし均しき縁に指を辿り、意図の過ぎし後に耐へるものを感じ候。殻を開きてその塩水を味わひ、手順を感覚に譲り候。馴染みの重みの羊毛の覆ひに身を包み、あるいは軽き霧の中に外に立ち、その執拗さを貴殿の肌に定まらせ候。

今日の色は浅石鼠に御座候。
Lucky Color: LightSlateGray — #778899天候に耐へ、空しき座を急がず候。

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