Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 女帝

女帝の濃黄緑。中央の鏡に色が映る絵

濃黄緑

逆位 · #556B2F

女帝の世にて、庭は遠くまで広がり、温みと、手の世話の下に集められたる収穫とを約し候。されど牌を半ば回せば、それらの垣の内の秩序は滑り去り候。蔦は抑えられずに厚くなり、かつて誇らしき垣の上を攀ぢ、一夜外に残されたる熊手の柄に巻き候。潰れたる月桂の葉の香りは空気に残り、古き枝の重さの下に半ば忘れられ候。真夏の茂みには御座なく、自らに任されたる林の静けさにて、橄欖は落ち、風化したる石の上に傷つき候。

忘れられたる州の斜面に沿ひ、古き果樹園は、集められざりし果実にて重く候。林は守り手を失ひ、圧搾は乾いて立ち候。厨にて、塩水の橄欖の瓶は納戸の奥に疎かに坐し、蓋は封ぜられ候へども、塵は硝子に定まり候。麺麭は卓の上に終はらず、曇りたる匙と、昨日の食事にて染みたる折り畳みの布巾との隣に候。世帯は疲れ、隅は萎れたる香草の籠と、炉の傍らの編み敷物の上に乾かさるるに任されたる、去年の秋の収穫の残りとにて満ち候。

土地の任されたるところに、物語は残り候。農婦はかつて、橄欖より油を圧すとき歌ひ、古き石臼を働かすとき手は滑り候き。今、石そのものは冷たく、歌は濃くなる黄昏の中の記憶のみに候。丘の斜面は、かつて整ひたる列の模様たりしものが、野生の百里香と、眠る羊の影とにて縫はれ候。地所の縁にて、忘れられたる戦の兵はかつて橄欖の枝の下を過ぎ、靴は根に浸みたる雨にて泥にまみれ、地を重く遅くし候き。村にて、市はなほ開かれ候へども、商ひは静かにて候。食品を商ふ者は酪を葡萄の葉に包み、葉脈は旱の年々にて浅くなりし川の地図を辿り候。

天気は圧し、かなりには到らぬ雨の香りを負ひたる空に候。かかる日、石の道は割れたる双耳の甕よりこぼれたる古き油にて輝き、粘り、強く香り、胡蜂と、縁の下よりの猫の好奇の眼差しとを引き候。空気は、あり得しものの約にて厚く、橄欖の木の下の涼しさは、待ちにて重く育ち候。

かかる世にて、更新は明るくも直ちににも御座なく候。耐心に候。垣の柱より蔓をやはらかく解くこと、疎かにされたる根の周りに土を丁寧に返すこと、新しきもののための場所を作るため瓶を遅く洗うことに候。人は厨の布を取り、橄欖の瓶より塵を拭ひ、光の見付けるところ、卓の中央に据ゑるも候。庭を散歩し、忘れられたる鋤の柄より蔦を引き戻すことは、かつてありし秩序の一片を戻し候。夕べに、月桂の葉を幾枚か熱き水に浸し、香りを立たせ、室の上に定まらせ、より古き季節を思ひ出させるも候。あるいはただ、野生の百里香の穂を書の頁のあひだに押し、戻る世話の約にて日を印すも候。

今日の色は濃黄緑に御座候。
Lucky Color: DarkOliveGreen — #556B2F忘れられたる庭は、貴殿の耐心を形づくり候。

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