Colors for the Fool

今日の色を、牌より引く

牌を引く / 吊られ人

吊られ人の濃緑。中央の鏡に色が映る絵

濃緑

逆位 · #006400

人は片足にて吊られ、腕は後ろにあり、風の沈黙の中に下がり候。頭は下を向き候。牌が表を上にするとき、そこには委ねが御座候。変はりの縁にて魂は休らひ、新しき角度より世を眺めて満ち足り候。されど牌が半ば転ずれば、紐は緊すぎ、あるいは緩すぎ候。人は藻掻き、あるいは抗ひ、停止の意味を拒み候。中断は安堵としては来ず、拒絶として来候。何もなし得ず候へども、何かをなさずばならず候。

牌の外の世にて、同じ落ち着かぬ抗ひは、北の斜面を埋め尽くす深く古き森に現れ候。苔は倒れし丸太を覆ひ、樹冠は日光を追ひ払い候。森の床にて、落ちたる針葉と滑る根は旅人を止まらせ候へども、ある者は押し進み、羊歯と落ちたる松毬を掻き分け、下草の沈黙を聞かむとせず候。古き物語にて、かかる森は避難所にも障壁にも候き。急ぐ者を輪の中に閉じ込め、待つことを学ぶまで放さず、あるいは急に異様と成りし道にて外へ押し出し候き。

かつて英吉利と蘇格蘭の高き州にて、樵は樅と一位の紡がれし影の下にて斧を研ぎ候き。仕事を急げば、柄は裂け、刃は砕くることを知りて候き。最良の歩調は切迫より来ず、年輪を一つずつ忍耐強く数へ、枝を一本ずつ柔らかく払ふことより来候き。されど常に、伐採を急がむとする者は候き。冬の嵐の休らひ、あるいは集まり来る黄昏の重みと戦ひ、自ら捕らはれ候き。道具は鈍り、靴は泥に嵌まり、樹そのものが容赦なく近くへ傾くやうに候き。

交易もまたこの教へを運び候。幾世紀の前、染師は蕁麻と酸模の大きなる釜を煮、熱き水を使い慣れたる櫂にて掻き混ぜ候き。熱は土の香る蒸気にて空気を満たし、浸したる羊毛は休まねばならず、浸さねばならず候。さなくば斑らに出で、約克または布魯日の市には合はず候。利を焦り、あるいは待ちに耐へかね、糸束をあまりに早く引き出しし者も候き。布は色を保たず、買ふ者は眉を顰め候き。前へ進む唯一の道が静けさを通るときがあり、それに抗へばすべての糸は解け候。

天候は時にこの真実を強ひ候。夏、濃き驟雨は岸より転がり、野を浸し、生垣を濡らし、空気を蔦と樹皮の香りにて満たし候。旅人は捻れたる樫の下に休らひ、外套を引き寄せ、蝋の如き葉の上に雨の粒の成るを見候。されどある者は警告を無視し、滑る轍へ押し進み、荷車の嵌まるを見出し候。車輪は深く回り、見えは果てのなき軋る霧雨のみに候。

家の内にて、蕁麻の茶のために藥罐は火に掛けられ、蒸気は窓縁に並ぶ鉢植の上へ昇り候。居室は、葉と樹皮にて染めたる古き毛の掛け物に蔭を落とされ、指に厚く粗く候。隅にて、一足の靴は戸の傍らに立ち、雨に浸りし園を歩きたる泥を着け、靴底はなほ苔と松の針の屑を抱き候。部屋の沈黙の中にても、動きたき衝きは消えず候。されど家そのものは、止まるための静かなる論を抱き候。濃緑の葉の香草にて食事を緩く調へ、床の下を箒にて測りて掃き、鉢の樅を念入りに剪ることに候。抗ひには、小さき仕草にて答へ候。最後の霜を生き延びたる苦き葉を採り、土の鉢には荒すぎて育ちたる苗を植え替へ、あるいは窓の傍らに休らひ、天候が庭の縁を暗くするを見候。

世が停止を強ふるとき、森のものも家のものも教へを供へ候。古き森、染釜、雨、忍耐ある職。すべて、休らひを拒めば混乱と無駄とのみへ至ると教へ候。されど休み、浸し、見ることは、それ自身一種の進みに候。

今日の色は濃緑に御座候。
Lucky Color: DarkGreen — #006400答へは雨の後の土の香りに静かに来り、待ちは貴殿の庇ひに御座候。

吊られ人へ戻る